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2019年10月8日火曜日

なぜ中華ドルオタ界隈では「公式が最大手」という概念が存在しないか

 先日角川にて「中華オタク用語辞典」の勉強会をやらせていただいた。事前にいただいたご質問のなかに、大変興味深いのがあった。

「発糖」の項の「糖里有毒」、わかる!と思いました。これのバリエーションだと思いますが、「砂糖にガラスの破片が混じっている」という意味の中国語の言い回しがあるとネットで見かけました。こういう表現、もっと教えてください。
(これはアイドルオタク用語ということですが、四字熟語の章で取り上げられている「官逼同死」も公式からの供給を指す言い回しですね。アイドルとアニメで言い方が違うということでしょうか。その違いを知りたいです)

  質問の前半は、元ネタのツイートの返信を見ていただくといろいろとバリエーションがあるので、ここでは割愛とする。後半の、アイドルとアニメで言い方の違いについて、少し極端な言い方になるが、私の見方として、中華ドルオタ界隈では「官逼同死(公式が最大手)」という概念がそもそも存在しない(ここのドルオタは男性アイドルが好きな女性と限定させていただく)。この記事では、この理由について深掘り、勉強会でやや不十分な解答を改めて整理・補足したいと思う。

 私は日本のアニメ・マンガなど、いわゆる「二次元」のコンテンツを主食としている。こんな私だが、四、五年前に中国の少年アイドルグループ「TFBOYS」をハマったことがある。当たり前のことに、ドルオタはアニオタと喋ってる「言語」が違う。「中華オタク用語辞典」で取り上げたアイドル用語はまさに私がこの時期学んできた言葉ばっかりであった、もちろん、言葉だけではなく、ドルオタとアニオタの文化違いも興味深い見ていた。
 前置きが少し長くなったが、本題の「なぜ中華ドルオタ界隈では『公式が最大手』という概念が存在しないか」について、私の仮説は、「ドルオタのカースト、腐女子が最下位だから」である。

 完全に私の独断と偏見だが、ドルオタのカーストをざっくりイメージ化したらたぶんこんな感じになる↓(それぞれ中国語の詳しい解説は「中華オタク用語辞典」をご参照ください)。

 
 つまり、単推しが一番えらく、彼女たちは箱推しをライバル視し、掛け持ちを見下しているのだ。彼女の理屈は分からなくはない。

  • 箱推しは事務所や運営に洗脳されている、グループ内のバランスを維持するのに自分の推しが不利益になる
  • CP厨や腐女子が好きなのは「腐向けコンテンツ」であり、アイドルそのものではない
  • CP厨や腐女子はエサがあるから掛け持ちしている、推しへの愛が不純すぎ
  • 掛け持ちも、実際平等に二人を扱っていない(より受けが好きか、より攻めが好きかなどの傾向がある)

 このように、推しにすべての愛をささげ、一番純粋な心を持つ単推しのファンはカーストの上位にとった。
 
 私自身は腐女子であり、TFBOYSをハマったときもメンバー同士のカップリングが好きだった。日本も同じように、実在人物同士のカップリング、いわば「生もの」の取り扱い注意への呼びかけは常に行われているし、二次創作力が高く、購買力もあるもののあまり堂々とアピールできない気まずい立場になっている。ましに、TFBOYSメンバーがデビュー時、全員未成年なので、その辺への自粛がさらに厳しかった。なので表面上、各メンバーの単推しファンがファンの大部分を占めている(ここではTFBOYSを例にしたが、TFBOYSに限らない話だと思う)。
 また、日本の場合だと事務所の力が強く、傘下のアイドルはどのような戦略を取るか、事務所自分自身が決まるもの、ファン内部のルールを作ってあげたりもする。中国はある意味真逆かもしれない、ファンは力持ちで、ファンが事務所をチェックする目線も厳しい。単推しも箱推しもおそらく一番恐るのは、アイドルが人気になっても「腐女子に媚びるから人気になった」というレッテルが剥がれないこと(あまり王道じゃないからかな?)、事務所もある意味これを恐れ、下積みの時期はまだこの辺の企画をやるかもしれないが、少しだけでも人気が出たらすぐ路線を変えたりする。当時の活動も黒歴史扱いか、全く触れなくなる。
 つまり、単推しメンバーのファンが大多数、腐女子に媚びる必要があまりない、媚びたところで炎上したら怖い、という理由で事務所主導の「公式が最大手」行為がほとんど存在しない結論になる。

 (腐女子が不憫に思ってしまったよ・・・)

2016年11月23日水曜日

捜狗ピンイン入力のビッグデータで解明!中国のネット民は普段何を喋っている?(1)

 おそらく中国で一番ダウンロードされている入力である捜狗ピンインは近日自社のビッグデータ報告をネット上で公開した。
 この全56ページのレポートは、2012年〜2016年までユーザーが入力したトップ5000の単語をピックアップし、中国ネット民の関心事を分類して傾向を分析した。データ量の多さと情報の深さで、中国のネット社会を理解するには絶好の参考資料であると思う。
 内容を全部紹介するには無理なので、私が特に興味深いと思う部分を翻訳して紹介する、ところどころ私の解説も入れたりする(ページ数のない段落)。レポートのリンクは本文の最後に公開するので、興味のある方は是非読んで見てください。



1、入力から見る中国人ネット民の行動パターン
 ・平均的に入力した文字数は50〜55で、情報の閲覧が中心。手で入力するよりも音声メッセージにシストする傾向が見られる。(P5)
 ・一番活躍している時間帯は夜の21時〜23時、仕事が終わって比較的にリラックスできる時間帯である。(P5)
 ・入力からユーザーのアクティブ率を分析すると、中国のネット民は一番SNSを利用する。その次は動画サイトやアプリ、ネットショッピングである。ネット民は政治が好きでよく新聞サイトで投稿するとよく言われるが、実際新聞サイトの利用率はかなり下位である。(P6)

ネット民がよく利用サイト(アプリも含む)
水色:SNS 灰色:動画サイト オレンジ色:ネットショップ 
黄色:個人ファイナンス 青色:ゲーム 緑色:新聞 


2、入力から見る男女、地域、世帯の差異
 ・女性1日平均的に絵文字を使う回数は2.84回に対し、男性は0.74回である。
 ・男性絵文字使用ランキング:😂😒😳😏😬😘😁😭☺️😱😔🌹😍👏😄😙😞😉
  女性絵文字使用ランキング:😂😒😳😭😁😘☺️😏😄😱😊😞😓☺️😍👏😙😡
  人気絵文字の利用には、男女の差はあまりないのは結論である。
 ・男女の差異が見られるのはマイナー絵文字の使用。男性は政治やエロスに興味があり、女性は感情表現が多いのは特徴である。
  男性がよく使うマイナー絵文字:🇨🇳🚉👎🀄️🌷🔞🏀
  女性がよく使うマイナー絵文字:📢🙆💁🐾🎀💃💗🎉❤️💋(P7)

 ・南の地域出身のユーザーがよく利用する絵文字:😂😓💃🙄
  北の地域出身のユーザーがよく利用する絵文字:😂😓😍👍
 ・結論:ネット民全体的にポジティブ的だが、世の中の理不尽さで泣き笑うことも多い。南の地域出身のユーザーのストレートな感情表現に対し、北の地域出身のユーザーは人を立ている。一般的に思われる「南の人が控え目で、北の人がド直球」と全く逆の結論になっている。(p8)

 ・若いほど絵文字をよく利用する。00年後生まれのユーザーは1日2.3個絵文字を使っている、70年代生まれや80年代生まれのおよそ3倍である。(P9)


3、ネット民がよく使う「新語」
2013〜2015年よく入力される新語ランキング

 ・言葉意味の解説
 2013年ランキング
 女漢子:男性のように振る舞う女性。ポジティブな意味として使われる時、自立した女性を指す。ネガティブな意味として使われる時、デリカシーのない女性を指す。
 紅米:中国メーカー「小米(xiaomi)」のスマートフォン製品。
 点賛:「いいね」を押す(Facebookではなく、wechatのモーメンツの投稿を「いいね」することである)
 土豪金:13年発売されたゴールドiPhone5sのことである。黄色(金)は中国で金持ちのイメージがある、さらに機能はiPhone5とほぼ同じで限定色のためだけにiPhone5sを買い換えることは金持ち(土豪→成金や普通の金持ち)でしかできない、という二つの意味合いでこの言葉が誕生した。
 爸比:パパのこと、13年でヒットしたバラエティ番組「パパどこ行くの」で出演した子供が言った言葉、あまりにも可愛かったので、流行語になった。
 脳残粉:厨房、狂熱のファンのこと。好きすぎて冷静な判断ができないファンを揶揄する言葉。
 人艰不拆:略語、フルバージョンは「人生已经如此的艰难,有些事情就不要拆穿」(人生はもうそんなに辛いのに、そこまで言わなくても分かるでしょう)である。元ネタは人気歌手林宥嘉のヒット曲「说谎」(嘘をつく)の歌詞。
 高端大气上档次:ハイクラス、ハイセンス、ハイレベル。元ネタは中国大人気ドラマ「武林外传」のセリフである。
 美腻:「美丽」のこと、きれい。特に元ネタがなく、ギャル言葉的な感じ。
 余額宝:中国の電子商取引大手アリババグループが始めた投資商品である。


                                           TBC

2016年10月2日日曜日

なぜいまの中国でも字幕組を必要とするか(下)

なぜいまの中国でも字幕組を必要とするか(上)

 前の記事では、字幕組が必要とする一つ目の理由を紹介した。この記事で残り二つの理由を紹介し、今回中国人が逮捕された中国国内の反応と今後予測の動きについても少し言及したいと思う。

 
 ②見るアニメが多いならダウンロードしたほうが楽というせつ
 日本ではテレビで録画して視聴することはまだまだ主流で、ネット上で視聴する場合、有料動画配信サイトに月々何百円払えば、基本今季のアニメ全部見られる。しかし、中国の動画サイトの場合、有料会員になっても全部アニメを見たければ、複数のサイトを使わざるをえない。「中国動画サイトの「大航海時代」が来臨、ニコニコ動画もそろそろ中国に進出したら?」この記事で紹介したように、放送権は各サイトによって分散されている。
 結局のところ、各サイトのアカウントを作り、複数の動画サイトを利用することは手間がかかる上、広告も見なければならない(60秒以上飛ばせないCMがほとんど)。そのほか、無料会員が見られる画質、コンテンツの種類も制限されている。例えばtudouでは、無料会員が見られるのは720Pまで、ハイキュー!!やジョジョなど独占放送コンテンツは別料金。有料会員ならもちろん無制限。こういった制限を外したいなら月々15〜30(300〜800円)元程度払えば安く済むと思うかもしれないが、複数サイトを利用するとそこそこいい出費になる。
 オンライン視聴と比べ、字幕組が作成したアニメをダウンロードする場合、少なくとも無料かつ高画質、広告なし、複雑なアカウント管理が不要と言ったメリットがある。また中国の「国家新聞出版広電総局」に検閲されるリスクを回避することもできる。

 業界内部はどういう仕組みでできているのか私には分からないが、今ネット配信に関する2部の法令[注1]から推測だと、tudouやyoukuなど中国大手動画サイトは中国国家新聞出版広電総局発行するなんらかの許可証を持っているはず。これは自社で放送内容を検閲できることを証明するものであり、国家新聞出版広電総局の直接管理を介せずにアニメ放送することができる(あくまでも個人の推測であり、詳細は後日記事にて紹介する)。ただし、放送後悪い影響が出てて国家新聞出版広電総局がクレームを受ける場合、国家新聞出版広電総局は放送中の作品を中止させたりする権利がある。中国で「甲鉄城のカバネリ」が一度放送禁止になったことはおそらくこの仕組みが動いたからであろう。

 つまり、放送決定のアニメでも突然視聴できなくなる可能性があり、また暴力シーンやエロいシーンが最初からカットされることもおかしくない。こう言ったリスクを回避する手段の一つとして、字幕組が存在している。国家新聞出版広電総局が動画サイトの運営会社ごとに命令を出せばオンライン視聴の規制は効くけれども、ダウンロードはあくまでも個人行為なので(字幕組も広い意味での個人行為)、そこまで管理できる余裕はないと思う。結果的に、国・政府の規制から逃す可能性も大きい。この意味から考えると、規制がある限り、字幕組は何らかの形で存在すると思う。


③ここでしら得られない情報量と所属感
 以上二つの原因は利用者側から考えたものであるが、実は字幕組のメンバーとして、字幕組を必要とする理由も存在すると私が思う。具体的な説明に入る前に、予め字幕組の仕事のおさらいをしたいと思う。細かい分担はさておき、字幕付のアニメを公開するには、最低限必要とする手順は以下である。
  • 字幕なし(いわゆるraws)のアニメファイルを入手。自宅で録画しアップロードする人もいるが、tokyo toshokanやnyaaで直接ダウンロードすることも可能
  • 翻訳
  • 校正
  • Aegisubなどソフトウェアを使い、字幕ファイルを作成する
  • 字幕ファイルと動画を結合させる
  • FTPサーバにファイルをアップロードし、ダウンロードリンクを生成する
  • 掲示板/SNSなどでリンクを発表する 
 字幕組内部では、こういったフローができて、実に合理的な組織である。翻訳は普通日本語能力試験N2以上の資格を持たないといけない、初心者でも可。校正はN1資格を持つ人かベテランが担当する。翻訳に関するデスカッションはグループチャットで行う、これで日本語の切磋琢磨ができ、まずは日本語の向上につながる。それに、日本語が分かる人が多いため、ここで交換される情報は翻訳されたものではなく、きちんと日本からの一次情報なので、普通のSNSより数が多く、質が高い情報が得られる。
 字幕組はボランティアだと言われるが、確かに金銭的な報酬がない、ただし代わりに掲示板などオンライン上の「特権」がもらえる。より簡単に限定のコンテンツをダウンロードすることとかができるので、日本語ができなくても字幕作成の手伝いなどをすれば、ある程度のメリットがついてくる。

 言語の壁がある限り、字幕組がないと何もできないので、字幕組は中華オタクたちに尊敬されている存在である。日本と違い、作り手はまだまだ少ないため、字幕組はある程度「クリエイター」としての尊敬が得てる。「オタクカースト」のてっぺんはちょっと言い過ぎかもしれないが、ボランティアでやってる以上、批判してはいけないという悪い風潮はある程度存在すると思う。例え字幕組のやり方や翻訳に不満があってクレームを言ったら普通のオタクに攻撃されてしまい、そしてその際の決まり文句はだいたい「你行你上啊=やれるもんならやってみな」である。

 以上が私が考えた今の中国でも字幕を必要とする理由である。中国側SNSを見る限り、今回の事件への反応が落ち着いた感がある。「残念だが、日本の警察が間違いなし」というような大人のコメントが多数支持を得ている。正式放送が進んでいる中、著作権に対する意識が高まる一方、今まで字幕組のお世話になったという「共犯者」同士の連帯感も目立つ。今後おそらく字幕組を使う人が徐々に少なくなると思うが、しかしアニメ放送は中国でビジネスとして成熟すればするほど、昔はよかったという感慨する人も増えるであろう。

 

 最後までの記事を読んで、「じゃ動画サイトの運営側は字幕組の翻訳を採用したら皆幸せじゃないの」と思う人もいるかもしれないが、その原因はまた次回で分析してみよう。



注1:
主に参考できる法令はこの二部である。
>>《関于加強互聯網伝播影視劇管理的通知》
(インターネットにおけるドラマ放送の管理強化に関する通知)
広電総局が2007年12月29日に発布。
>>《関于進一歩加強網絡劇、微電影網絡視聴節目管理的通知》
(インターネットにおけるネットドラマ及び映画視聴の管理強化に関する通知)
広電総局が2012年7月6日に発布。 

注2:
主な内容: 《互聯網視聴節目服務管理規定(インターネット視聴番組サービス管理規定)》に関連する規定として、ネット上で配信するドラマ (国内外の映画、ドラマ、アニメ、及び相応する音楽・映像ソフトを含む)に関する通知。 インターネットで配信する映画・ドラマ・アニメは、国家広電総局が発行する「電影片公映許可証」(映画上映許可証)、「電視劇(電視 動画片)発行許可証」(ドラマ(テレビアニメ)発行許可証)もしくは「電視動画片発行許可証」(アニメ配給許可証)を法に基づき取得し、 同時に著作権所有者からインターネットにおける映像上映権利を取得しなければならない。これら許可証を所有しない映像に関しては、 インターネットで配信(視聴サービスを提供)してはならない。

参考ソース:
中国コンテンツ市場調査 (6分野) 2012年 11月 日本貿易振興機構 (ジェトロ) 



TBC

2016年10月1日土曜日

なぜいまの中国でも字幕組を必要とするか(上)

 最近、中国人字幕組メンバーは逮捕されたニュースがツイッターであっちこっち拡散されている。個人的に興味深いと思うのは、違法アップロードされたアニメは「アルスラーン戦記」であることだった。
 中国のネット事情をご存知の方だったら分かると思うが、最近の中国動画配信サイトは正式放送がほとんどで、「アルスラーン戦記」につきまして、少なくとも3社(bilibili動画、PPTV、iQIYI.COM)が放送権を所有している。さてここからは本題、なぜ正式放送へシフトしつつなか、未だに字幕組への需要があるだろうか。少なくとも三つの原因があるかと私が考えている。


①字幕組の選別から見えるオタクとしてのリテラシー
 今時オンライン、いわゆる動画配信サイトでアニメ番組を見る中華オタクが多いと思うけれども、少し前の中国は字幕組の戦国時代であった。原因の一つは中国動画サイトの放送権購入、もう一つはダウンロードしなくてもローミングかオンライン視聴ができる携帯電話やインターネットなどITインフラの整備だと考えられる。
 コンテンツ自体区別がないなら、どうやって自分が作成した字幕をより多くの人に見てもらおうかというと、より高画質の映像を提供するのもそうだし、やはり字幕への工夫がポイントである。字幕作成のスピードはもちろん、翻訳の正確性、元ネタの解釈、日本語字幕の提供、字幕スタイルの調整(サイズ、色、フォント、アニメーション)などなど様々な工夫が必要とされる。作品への愛がない限り、オタク知識が豊富でない限り、なかなかできないタフな仕事だと思う。そして、それを分かって、あえてこだわりを持って選ぶこそ中華オタクだ。
 私が字幕組をよく利用した時のことになるけれども、字幕組によって得意とするジャンルがある。そのオタクが利用する字幕組によってオタク歴を判断することは、少なくとも私がある。
 いくつの例をあげよう。
 猪猪字幕組:スピードが一番早いが、間違いが多い。素人が選びがちの字幕組
 極影字幕組:最大級だと言われるBTダウンロードサイトを所有し、ダウンロード量が圧倒的に多い
 澄空学園:ギャルゲー掲示板発祥の字幕組なので、ゲーム原作のアニメに強い
 華盟字幕組:翻訳の質が高く評判よい。ただしスピードはやや劣る、根強いファンが多い
 HKG:遊び心があって個性が溢れる字幕組。センスのいい翻訳で人気が高い
 軽之国度:ラノベ掲示板発祥の字幕組。ラノベ原作のアニメに強い
 WOLF:腐向けアニメに評判のある字幕組
 諸神字幕組:日本語/中国語両方字幕を提供するので、日本語学習者の中で人気が高い
 千夏字幕組:百合アニメが得意
 LAC:銀魂専門の字幕組。細かい元ネタの説明が良心的だと評価されている
 このように、一見同じように見える字幕組だが、それぞれ個性があり、強み弱みがある。見るアニメによって違う字幕組を選びたいならオタクとしての高いリテラシーが必要である。自分が「分かる」オタクを示す一つの手段でもある。
 
 ところで現在、動画サイトで正式放送される場合、代理店や業者にお願いすることが多い。下の図はビリビリ動画正式放送版「食戟のソーマ」のスクリーンショット、ご覧の通り、字幕は代理店が翻訳したものである。


 業者さんの字幕は基本オタクたち最低限のニーズしか満たせない。元ネタの解説はもちろんないし、OPやEDの歌詞もそんなに気を使わない。それに不満があり、依然として字幕組を利用することが多いと推測できる。その代表例は、正式放送の黎明期の時、「銀魂」の字幕をめぐっての争いである(詳細は過去記事を参考してください:八子のブログ(旧館)最近の事件から見る中国オタク向け動画サイト)。また、オンラインで視聴した後、画質がよく、完成度の高い字幕組のアニメファイルをダウンロードし、コレクションをする中華オタクも依然として多いであろ。

2016年9月24日土曜日

Bilibili取締役陳睿のスピーチを翻訳してみた(下)

Bilibili取締役陳睿のスピーチを一部翻訳してみた(上)

 鬼畜もビリビリ動画で特徴のあるコンテンツの一つです。鬼畜は自虐ネタで、もともとは二次創作用語でした。初心者のうp主の作品がひどくて見づらかったので、「鬼畜」だと揶揄されています。ただし、ちゃんとできた鬼畜作品は本当に面白くて、私たちが馴染んでいる作品を違う形で表現できます。

 人文科学もビリビリ動画で言及するに値するコンテンツです。その代表的なドキュメンタリーは「我在故宫修文物(私は故宮で文物を修繕している)」です。放送されてから、登場人物の王先生は大人気になりました。この王先生は故宮で30年以上働いている普通の従業員です。このドキュメンタリーは中国中央電視台が制作したもので、私たちは放送権を買いました。若者はこのドキュメンタリーを見て感じたのは、職人気質というのは日本だけのものではなく、私たち中国においても職人がいますし、日本の職人気質はそもそも中国からのものでした。もし百度(中国の検索サイト)でこのタイトルを検索したら、ビリビリ動画は必ず検索結果に出てきます。ビリビリ動画はこの後、中国中央電視台と共同制作をすすめ、今年中劇場版を出す予定です。

 ビリビリ動画のユーザーがすごく若いです。テンセントの統計によると、0~17歳のユーザーが大部分に占めています。次は18~24歳のユーザーで、25歳以上のユーザーは10%弱です。25%のユーザーの年齢は未公開なので、実際、ビリビリ動画では17歳以下のユーザーはおそらく半分以上を占めています。18~24歳のユーザーはだいたい30%です。ちなみに、私たちオフライン調査の結果によると、北京・上海・広東の大学生と中学生の中で、ビリビリ動画のユーザーは学生の半分以上に占めています。一方、ビリビリ動画の本拠地である上海の調査結果を見てみますと、復旦大学でよくビリビリ動画を利用する学生は94%でした。

 こういった若いユーザーとよく交流するようになったら、彼らに対してより深い理解を得ました。大人たちはよく「90年以後生まれの子はサブカルチャーしか興味ないのでは」「00年以後生まれの子はもう彼氏/彼女作っているよね」と心配をしています。実は今時の子供は前の世代よりずっと強いです。90年以後生まれや00年以後生まれの子たちは子供の時から豊かな生活を送っていますし、いい教育を受けていますので、自国の文化に自信があります。彼らは道徳・自立・教養のある世代です。彼らは著作権を大事にしていて、 列に割込みやコネを使うような行為に反感を持っています。彼らは本当に自信のある世代です。
 
 90年以後、00年以後生まれの子供は私の世代とそんに違うのは、物質生活や教育だけではなく、彼らは早いうちにインターネットを利用したからだと思います。インターネットは大変よいもので、人の視野を広げ、人とのコミュニケーションを促進できます。

 私は1997年、19歳のときインターネットを利用し始めました。その後、私が22歳になったとき、やっと仕事でブロードバンド ネットワークを利用するようになりました。その後私が三ヶ月間で見たアニメ、漫画、映画の数はこの22年間見たものより多かったです。最近、上海の高校にも調査に行ってきました。その中で1000本以上の映画を見た高校生はすごく多かったです。私と同年代の人なら、1000本以上の映画を見た人はそんなにいないと思います。時々私は考えています、なぜアメリカは2005年のとき、YOTOがあって、なぜアメリカ人が彼ら独自の文化を持っていますかと。それは、1970年代からアメリカの家庭ではビデオテープレコーダが使われているからです。彼らはインターネットが誕生した前、すでに創作できる環境が整っています。しかし、中国人はインターネットが出来てから視野が広くなって、創作の環境を手に入れました。私たち中国人と外国人は同じく創造力を持っています。唯一の違いは、私たちの視野が狭かったです。しかし、90年以後、00年以後生まれの子供たちは違います、彼らは本当の創造力を持つ世代です。

 ビリビリ動画はコンテンツを作るコミュニティではなく、クリエイターにサービスとプラットフォームを提供する会社だと思います。私たちはコネクターでうp主とユーザーをつながります。個性的かつ多様な文化を好む人々がビリビリ動画は楽園だと本気で思わせたいです。

 私たちの次の世帯なら各種のクリエイターツールを熟知していて、一人一人はクリエイターになれます。ビリビリ動画は彼らを支えるプラットフォームになりたいです。私たちはオンラインのサービス以外、BML(Bilibili Macro Link)というオフラインイベントも主催しています。オフラインでうp主と視聴者たちが出会える場を提供します。

 今年のBMLでは、洛天依の登場は一番注目されていて、来場者数は1万人を超えました。洛天依はビリビリ動画の心を象徴しています。洛天依はあくまでもプログラムです、しかし私たちクリエイターが曲を作り、彼女に歌わせました。数えられない曲は洛天依に生命力を与え、彼女はメルセデス・ベンツ文化センターの舞台でコンサートを開催するこを実現しました。なぜ人が集まりましたか、それはうp主とビリビリ動画は彼らに楽しい思い出を提供し、彼らはうp主とビリビリ動画に感謝しているからです。楽しみを作り、多様な文化を作り、次世代の文化の楽園としてのビリビリ動画を作り、それが私たちがやりたいことです。

2016年9月23日金曜日

Bilibili取締役陳睿のスピーチを翻訳してみた(上)

出典:http://36kr.com/p/5053318.html

※全文翻訳ではなく、自分が思うポイントのところのみ翻訳した(8割程度
※意訳である

 2009年、ビリビリ動画はオタクのみで作られたコミュニティでした。その時、ユーザー数が少ないでしたが、ユーザーの属性が統一で、コアなオタクばかりが集まってきました。このコミュニティではオリジナル/創作が好まれ、コアなオタクたちのニーズを十分に満たしたため、規模が少しずつ大きくなりました。アニメから歌ってみた、踊ってみた、テクノロジー、ファッション、生活、鬼畜など様々なコンテンツを生み出しました。

 現在のビリビリ動画では、人気検索タグはすでに7000以上を超えました。なので、今のビリビリ動画は7000種類人気のあるクラスターによって構成されたコミュニティだと言ってもよいでしょう。ビリビリ動画をよく利用する人は「万能のビリビリ」という言葉を聞いたことがあるだろうと思います。それは、ビリビリ動画では様々な人が集まってきたからです。

 趣味で集まった人々が増え続け、現在1億のアクティビティユーザー、百万のアクティビティうp主を有します。毎日万レベルの動画はアップロードされ、その中九割がオリジナル作品です。

 ビリビリ動画代表的なコンテンツといえば、アニメが挙げられます。ビリビリ動画でアニメを見ると、弾幕=コメントがあります。このコメントはサイトの機能の一つだけではなく、気持ちを表すツールでもあり、他のユーザーと一緒にアニメを見るという連体感を与えます。

 日本のアニメだけではなく、中国オリジナルのアニメも注目されています。はじめから、ビリビリ動画では中国オリジナルアニメ作品のファンが集まってきました。ビリビリ動画は最大級の国産アニメファンのコミュニティだと言えってもよいでしょう。ほとんどの中国オリジナル作品はビリビリ動画で配信されています。

 「那年那兔那些事儿(その時、その兎、その出来事)」は完全なる国産オリジナルアニメで、しかもネット上コミュニティ発祥でした。愛国テーマにしたアニメなので、弾幕=コメントを見る限り、共感したユーザーが多いと感じました。若者がこのアニメを見ると、愛国主義の教育にも受けられます。今まで説教の愛国教育と一線を画し、共感が得られるものでした。

 私はビリビリ動画を運営する時、感じたのは、若者(90年以後生まれ、00年以後生まれ)は実にこの国を愛しています。彼らの生活が豊かで、いい教育を受けています。彼らは本気で中国で生まれて良かったと思っていますし、彼らは本気で中国を愛しています。

 次は音楽コンテンツを紹介したいと思います。ビリビリ動画では、毎日1000以上のオリジナル曲が投稿され、ビリビリ動画はすでに中国最大級のオリジナル音楽コミュニティになっています。今年李宇春は湖南衛星テレビで歌った曲はビリビリ動画発のオリジナル曲で、VOCALOIDキャラクター洛天依が歌ったものでした。当時、たくさんのマスメディアはこれについて報道し、「二次元と三次元の壁をやぶった」と言いました。
 
 音楽コンテンツについて、「九九八十一」の例もあげたいと思います。それは複数のうp主によって共同創作のオリジナル曲でした。2016年の旧暦春節、彼らがこの中華風のソングを発表しました。ちなみにタイトルとテーマは「西遊記」からでした。この曲の面白いところは、「西遊記」中の登場人物を全て性転換をしたことでした。この設定はユーザーたちに大変受けまして、二次創作物まで出てきました。ビリビリ動画においては、音楽創作は大変活気のあるクラスターだとお分りかと思います。

Bilibili取締役陳睿のスピーチを翻訳してみた(下)

2016年9月22日木曜日

細かすぎて伝わらないビリビリ動画の弾幕事情

 中国のオタク事情に少しでも理解がある方だったら、一度ビリビリ動画のことを聞いたことがあるだろう。
 最初はニコニコ動画のパクリとして知られ、しかし動画サイトとしての完成度は日本人オタクの中でも話題になった。最近、日本アニメの正式放送権[注1]を得たり、日本のモバイルゲームの代理権[注2]を獲得したりして、動画サイトだけではなく、中国オタク文化一つ重要なプラットフォームとして広く知られている。
「本家」のニコニコ動画に似ているけれども、ビリビリ動画は中国独特のオタク文化を生み出している。同じく「弾幕」[注3]でも、違う使い方がたくさん見られる。本記事では、こういった違う使い方をいくつ紹介したいと思う。

1、空耳の場合
 ニコニコ動画で見る限り、複数のユーザーが投稿し、ところどころの空耳コメントを入れるのは一般的である。ビリビリ動画では、もちろん同じ習慣があるものの、特定の誰かが空耳のコメントを投稿し、OPまたはEDの全曲をやるのも多かった[注4]。
 それでは、具体例を挙げつつ、説明していこうと思う。

例1:「アルスラーン戦記」OPの空耳@ビリビリ動画




 ご覧の通り、画面の上に緑色のコメントがあり、それはいわゆる「空耳弾幕」。特徴として、場所は上の真ん中、いつも同じ人が同じ色のコメントを打ち込む。「空耳弾幕」を作るには時間がかかるため、弾幕作者はいつもコメント欄か、弾幕の中あらかじめて宣言しとく、例えば「我是绿色空耳菌(君),现在开始施工(私は緑色空耳くん、今から空耳弾幕の工事をする)」。先に宣言しとくと、他のユーザーは同じ色を使わなくなるので、弾幕はより読みやすくなる。ちなみに、ここに二つの弾幕用語がある。
 ①空耳菌(君):空耳弾幕職人のこと。「菌」の中国語読みは「君=くん」と同じで、ちょっとわかいい言い方である。
 ②施工:弾幕を打ち込むことは「施工=工事」と言う。派生の単語として「施工现场=工事現場」がある。弾幕職人は弾幕を作っている最中動画を見てしまったことを指す。

例2:「この美術部には問題がある」OPの空耳@ニコニコ動画



例3:「この美術部には問題がある」OPの空耳@ビリビリ動画



 ニコニコ動画とあまり違いのないビリビリ動画の弾幕だが、若干カラフルな感じがする。推測だが、日本ユーザーは「弾幕(カラフル、多彩な表現)」と「コメント(デフォルト、たまに赤字)」を区別して使うことに対して、中国ユーザーはこの意識がないので、この結果になってしまったのではないと思う。

2、野生字幕の場合
 まず「野生字幕」という言葉の意味を説明しよう。野生の公式という言葉があるように、字幕組の翻訳ではないけれども、日本語の分かるユーザーが先に翻訳してみたという意味合いで理解していいと思う。ルールがあまりないが、字幕らしく下の真ん中に置くのは普通。色はデフォルトのホワイトが多いが、たまにキャラに合わせて色分けする場合もある。

例:黒バスNG集@ビリビリ動画

 
 ちょっと見づらいが、下の真ん中は二人の台詞で、きちんと緑と紫で分けられている。タイトルの「生肉」とはまだ字幕組に翻訳されていないアニメや動画のことで、「野生字幕君」は字幕組に翻訳されていないが、他のユーザーによる翻訳があるよという意味である。

3、黄色、緑色、ピンク...etcの場合
上の例を見ていると中国のオタクたちはよくいろんな色を使っている。キャラを分けるのはもちろん、それ以外でもいくつパターンがある。

例1:黄色 
 中国語を勉強している人なら分かると思うが、中国語の中、黄色にはわいせつやひわいの意味があり、日本語の「ピンク」とよく似ている。なので、エロいシーンを見る際やわいせつな考え方があったら、自己申告みたいに「あれなんで私いま黄色くなった」をコメントすることはよくある(赤ラインのコメント)。
(via:「この美術部には問題がある」11話@ビリビリ動画)

例2:緑色
 これも中国語に関係するが、NTRは中国語で言うと「戴绿帽=緑色の帽子をかぶる」になるので、NTRシーンのコメントを緑色で打ち込むのが上級者である。もちろん黄色との組み合わせも可能。


(via:「この美術部には問題がある」10話@ビリビリ動画)
 
 緑色弾幕のパターンはいくつある。上のシーンで例えをすると、
①我怎么变绿了=あれなんで私が緑色になった?
②我是女主绿=私はヒロイン緑です(もちろんキャラ名に変えても可、私は宇佐美緑ですとか
③@宇佐美=文字通りの意味で、@の後ろにNTRされたキャラが付く
 だいたいこの3種類があると思う。

補足:顔表立
 よく弾幕の中で「顔表立」を見られると思うが、それは「色(=中国語の顔色)は立場を表す」の意味である。例えば、魔法少女まどか☆マギカの中で、ピンク色を使って「顔表立」をコメントすると、私はまどか推しだという意味になる。

4、その他のシチュエーション
例1:yooooo
 まずyooooの元ネタはこちら↓ 

Don't watch an anime called Boku - YouTube

 おそらく日本でもこの動画は広がっていると思うが、yoooは思った以上に浸透していない。しかし中国のオタクの中、yooooはかなり高い頻度で使われている。もともと男の娘が出る動画で使われた弾幕であったが、使用範囲がだんだん広くなり、最近BLのシーンでも使われるようになった。

例2:囍



(via:「DAYS」ED@ビリビリ動画)
 
 囍は双喜字と呼ばれ、めでたい時使われているしるしで、特に結婚式でよく使用されている。BLGLNL問わず、カップリングの二人が画面上でアップされた時/カップリング成立の時/惚れた時などなど、赤文字で「囍」をコメントすると自分の喜びの気持ちが伝わる。ちなみに、カップリングの二人の距離が近すぎてそろそろキスしそうだけどキスできなかったとき、「按頭小分隊」の弾幕がよく見られる。それは「二人の頭を押し隊(たい)」「二人をキスさせ隊(たい)」の意味で、囍の弾幕の相性がなかなかいいと思う。

 いかがでしょうか。同じ弾幕系のサイトでもそれぞれローカルの特徴がたくさん見られると思う。今後、また面白い弾幕を見つけたら随時更新したいと思うので、どうぞ楽しみに。



注釈:
注1:ビリビリ動画においては、BiliBili正版のタグがつけられ、さらに電子透かしを埋め込んでいるアニメは放送権が有するものである。それ以外はユーザーアップロードコンテンツである。詳しくは→中国動画サイトの「大航海時代」が来臨、ニコニコ動画もそろそろ中国に進出したら?
注2:Fate/GOや魔法少女まどか☆マギカなど、一覧はこちら→bilibili遊戯中心 
注3:本記事においては、弾幕=画面上で流れるコメントという意味を用いる。「弾幕」の意味詳しくはことら→ 弾幕シリーズ(仮) 一、弾幕そのものとちょっと情報学っぽいもの(1月28日更新
注4:本ブログ以前でも取り上げたことがあるので、よかったら参考してください→おもろい中国語の空耳を翻訳してみたーー「太陽曰く燃えよカオス」と「紅蓮の弓矢」)

2013年5月1日水曜日

なぜ中国で選挙が行われていないの?上海動物園の投票から言おう

 本題に入る前に、先日のツイートを紹介したいと思う。
このニュースはネタだと思われるかもしれないが、本当のことだった。そして、「銀魂」の監督高松さんも噂を聞いたようだった。
ネットユーザーのコメントから見ると、ゴリラ赤ちゃんの名前は絶対空知だと思われるが、さすがここまで大きな話題を呼んで、日本人の名前で命名するのは適切ではないと動物園側はやばいと思ったかもしれないので、28日から専用の投票サイトを開設した。weiboと違って、ウェブサイトなら簡単に結果をコントロールすることができる。図1のように、最初空知の名前はずっと上位を占めたが、28日の夜から「海尔」(中国有名な電気ブランド)の票数が激増し、その後「愛星」の名前も20万突破した。30日の午前中、「空知」の票数は28万、「愛星」の票数も26万を越えた。その後、上海動物園は「悪意の投票があるため、投票を中止する」の声明を発表した。
図1
 
図2
  図2は上海動物園の公式weiboである。時間の順番で翻訳すると:
投票と統計を便利になるように、ホームページで投票ページを開設しました。ネットユーザーの参加と関心をえたが、票数が異常だと気づき、システムで調べると悪意の投票を発見しました。やむを得ず投票を中止しました。しかしネットユーザーはweiboで投票することができます。ご迷惑をかけて本当に申し訳ございません。
今回の投票の名前は全部ユーザー様からいただいたもので、ネットユーザーの熱意と意見をそのまま反映しました。ネットユーザーの選択を尊重し、どんな名前を選ばれても構わない覚悟をしたから、投票を行いました。今回の投票の主旨は、面白いイベントを提供し、動物への愛を深めることです。しかし一部分のネットユーザーは理解していただいてないため、今回のイベントの意図を反しました。
これは上海動物園最後更新したツイートであった。結果は5月17日以後出るが、この茶番劇はどうやって始末するのは置いておいて、事件の流れから見ると、中国の選挙に似てると思わない?今回の事件一言に言えば:
 国家主席は選ばれないのはいいが、なぜゴリラの名前さえ自分で決められないの?
上海動物園は中国政府や政党、参加したネットユーザーは選民だと考えるとちょっと面白いと思う。中国の選挙制度について、教科書では確かにこのように書いた:「全国人民代表大会の制度を通じて、特色のある社会主義民主制度を実現する。」しかし実際私一度選挙を参加したことがないし、投票に行ったこともない。行きたくないわけでもないが、参加できる手段がないからである。私みたいな中国人は数多く存在すると思う。今回の投票事件のように、投票と統計をするため一応ホームページを開設したが、実際全然役に立ったない。動物園(政府)側の予想通り進まないと、すぐ裏で票数を変えたり、中止したりする。選挙権や被選挙権については、法律によると、「中華人民共和国の満18歳の公民は、民族、人種、性別、職業、出身家庭、宗教信仰、教育レベル、財産の状況、居住期限を区別せず、みな選挙権と被選挙権がある。しかし、法律に基づいて政治上の権利を剥奪されたものは除く。」実際はどうだろうか。2011年から勃発した「独立候補者運動」の例を見てみよう。現存の選挙制度に不満があり、制度内部から変革を実現するため、地方人民代表大会代表の改選選挙が行われた時、個人が「独立候補者」として立候補し、大きな話題になったが、政府側はすぐ「法的根拠がない」と否定した。今回の投票もそうだった、望ましくない立候補が現したら、プレッシャーをかけて、選挙を諦めさせる、作家の李承鹏のようだった。もし本当に直接民主制になると、ゴリラの名前は空知英秋になるように、偉い人たちの望ましくないことが後耐えずだろう。これはまさに選挙行われてない理由である。

今回の投票はあくまでも中国の選挙の縮図だ。民主の名を乗って、実際うえの人の都合のいい人だけ選ばれる。この考え方はあまりにも影響が大きいので、ゴリラの名前さえ決められない。本当に悲しいことだ。


参考ソース:
図1:http://goo.gl/vBBju
図2:http://goo.gl/f0DXY

2013年2月18日月曜日

ニコ動解禁事件の始終

 先日、中国のネット上ちょっとした事件があった。それはずっと中国に禁止されたニコニコ動画は見えるようになった。
 ニコ動が禁止させたのは2010年だった、理由はノーベル平和賞の授賞式を生中継したから。ちなみに今回接続できたのは本家ではなく、アメリカ版だった。
 ニコ動解禁この事件は別にいいが、すごく面白いと思うのは、中国のオタクの反応だった。ずっと禁止されて、オタク向けのサイトはやっと解禁、嬉しいと思う人が多いだろう、私はそう思ったが、実際そうじゃなかったみたい。
 まず、嬉しい人と比べて、心配する人が多い、心配することはマナーだ。YouTubeのような国際的なサイトと違って、ニコ動は日本人向けのサイトで、使う言語ももちろん日本語である。しかもニコ動独特なシステムによって、コメントが動画と同時に流れている。もしいきなりほかの言語の書き込みが入ったら、間違えなく視聴の障害である。ニコ動はまだ禁じされてなかった時、中国のオタクの中でこのような不文律があった――「ニコ動でできるだけ発言しないこと。したくても日本語で」、当たり前ようなことだったが、以前中国語を書き込む人は結構いた、不文律というより、教訓であった。
 ニコ動解禁まもなく、彼らの心配は現実になった。したの図は筆者のツイートであった。
図の示したように、中国語の書き込みがいっぱいあった。さらに酷いのは、国歌を投稿て、「釣魚島(尖閣諸島)は中国のものだ」とコメントした人もいる。
   図1

 このようなことを見て、中国の一部のオタクは「実は禁止されたほうがいいかも」「これは恥だ」、「GFWを誤解したんだ」とコメントした。
図2

 しかし、その一方、前にもニコ動のパックリと呼ばれるビリビリ動画はまた大きな話題になった。完成度が高いため、日本側の記事に紹介された。その結果、日本のオタクがビリビリ動画にどっとなだれ込んだ。アニメは高画質で見れるし、しかも無料で、「本家以上いい」のコメントがあい続く。
図3

 解禁からもう一週間、果たして今回の事件はどの風に解読したらいいだろう。筆者は事件から中国人のオタクの心理が見えると思う。
 
Ⅰ ニコ動かビリ動か
 中国のインターネットは前から検閲制度があるためよく批判される。GFWは1999年から設計されて、今若者のネットユーザーはGFWに非常に馴染んでいると言っても過言ではない。グーグルの一部のサービスやツイッターなどが利用できないため、中国のネットユーザーは代替品を次々作り出した。グーグル使えないなら百度、ツイッター使えないならウェイボー、フェイスブック使えないなら人人網、同じようにニコニコ動画が見えないならビリビリ動画やACFUNを使っていい。
 実はビリビリ動画では、ニコ動からの動画はかなり多い、ニコ動の話題動画はほとんどビリビリ動画で見つけられる。その一方、ニコ動は会員の制度があり、混雑の時画質がよくないうえ、著作権のため、中国のIPはアニメ見られないはずである。画質がいいしかも【無料】のビリビリ動画と比べて、もちろんビリビリ動画のほうがよいと思われる。恐らく、多くの中国人オタクは一時的にニコ動をはまって、その後またビリビリ動画に戻るだろう。

Ⅱ GFWが必要かどうか
 前にも言ったように、中国のネット上既に代替品が存在するため、GFWはあるかないかどうでもいいと思う人は多いだろう。今回のように、むしろGFWがあったほうがいいと思う人もいる。言論の自由を求めるということは一般のネットユーザーにとって、多分無理かもしれない。以前論文にも書いたように:
 検閲を避けるために、多くのユーザーはまず自己検閲をする。自己検閲というのは、投稿する前に、敏感な内容があるかどうかを確認するものである。ロックキーワードがあったら、キャンセルしたり、キーワードを同音の漢字と変えたりする。GFWによる制限に慣れていることもあり、文句があっても、言論自由を求めるレベルではない。これについて、福島香織(2011年)は「覚悟した自由を求める言論とは違い、給湯室で上司の陰口を叩く女子社員のレベルだ(渡辺浩平2011、p186)」と述べた。反抗や状況を変えるつもりもないであろう。
 しかしながら、革命の父孫文氏が言ったように、民主自由は世界発展の波で、逆方向に進めば国は滅びる。いつか、中国のインターネットは必ず世界中のインターネットと合流するはず。その時、中国のネットサービスやネットユーザーはどういうふうに対応するか。筆者は興味を持つというより、少し心配している。『ショーシャンクの空に』の言ったように「These walls are kind of funny like that. First you hate them, then you get used to them. Enough time passed, get so you depend on them.  That's institutionalizing.」もしこのような始末になったら、本当に残念だと思う。  

Ⅲ オタクに関する
 「オタク」この言葉が誕生したから、「自虐」のイメージがついてる。今回の事件でもそうだった。解禁されたのはアメリカバージョンで、もしnicovideo.comに接続したら、自動的にnicoviedo.jpに転送されるため、日本人が見られる可能性が非常に低いと思う。それにも関わらず、「すみません」「迷惑をかけて申し訳ない」のコメントが非常に多く、筆者は自虐すぎないと思ってしまった。なぜこのような発言があるというか、やはり図1のように、一部の不適切なコメントがあり、「私は彼らと違う」と表明したがるだろう。

 最近中日の間、政治をめぐる紛争が多く、政治の面から見ると結構緊張な局面であるものの、中国からの旅行団が日本に訪れるというニュースはよく耳にした。中日のオタク交流はニュースになれないが、結構進んでると思う(今日もウェイボーでエヴァンゲリオンの公式アカウントが開設されたニュースを見た)。今回の事件をきっかけとして、両国のオタクの交流を一層深めるといいな。


引用ソース:
図1:http://weibo.com/2641750481/zicLwgrYH
図2:http://weibo.com/2871130844/zid7sFp58
図3:http://getnews.jp/archives/288656

関連記事:
最近の事件から見る中国オタク向け動画サイト

2012年12月11日火曜日

言いづらい地域への愛着

 大学に入った時は、初めて地元を離れた。違う人と出会って、楽しいと思ったが、時々困ることがあった。それは自己紹介だった。
 新しいところに行って、自己紹介はもちろん欠かせない。自己紹介をする時、名前+出身地+趣味は普通だ、名前と趣味はまあまあ大丈夫だが、出身地に行くと、私みたいに小さい町から出る人にとっては、ちょっと厄介なことだった。
 「皆さんこんにちは、○○です、出身地は○○省、趣味は○○です、よろしくお願いします。」と私は自己紹介をした。
 それで必ず「○○省ですか、市は?」の質問が来た。
 「えっと、北の方ですが...」厄介だなと思って、曖昧な表現でごまかそうとした。
 「まさかA市ですか。」質問はまだまだ続いた。
 「あ、違います、A市のとなりです...」仕方がなく、「実はB市なんです...」と正直に言った。
 そして相手はきっと「B市ですか、聞いたことはないですね...」の返事に来て、その場の雰囲気はちょっと微妙になった。
 「小さい町だから、しょうがないですね...」と苦笑いながら、そう言った。
 日本に来ても、この状況が変わらない。日本人は中国の地理あまり知らないから、よくA市の近くと曖昧に紹介する。
 少し前に、ネットである動画を見た。地元の人は有名なお見合い番組を参加した、自己紹介の時、大都市の女の子にからかわれた、「そんな貧乏くさい田舎聞いたことはないよ!」と。この話、地元の友達の中ちょっと話題になった、「地元はちゃんと誇りを持ってるのに」、「お見合いだったら出身地じゃなくて、人柄を重視すべきではないか」と皆はそう言った。
 私は黙ったまま皆の怒りを見ていた。あの女の子は間違いない、地元は確かに貧乏だ。成立して10年も経てない、経済力は省内一番下、鉄道さえもない、そんな地元は貧乏だと言っても過言ではない。
 地元は昔々の時、結構豊かな土地だった。お米とお酒の名産地で、京杭大運河と繋がり、皇帝が江南に行った時よく地元の御所に泊まった。しかし近代に入ると、運河に依存する商業が衰えた、上海を中心する経済圏は地元にあまり遠いから、経済の発展はずっと遅い。前はずっとほかの市に付属したが、90年代ようやく成立し、どんどん発展していく、それにしても、差があまり大きすぎる。
 
 今いる研究室のテーマの一つは地域活性化だ。地域の愛着という言葉はよく出てきた。愛着か、ちょっと贅沢な言葉ではないかと自分は思った。大都市に対する劣等感、地元に対する複雑な気持ち、自分はこの土地を愛するとちょっと口に出しにくい。
 経済を発展するために、外資をいっぱい導入しようと歴代の市長はそう主張した。しかし、そう簡単なことではない、省内のほかの都市と比べて、全然優勢がない上、都市を建設するための人材がどんどん大都市に集中してゆく。若者はだいたい大学をきっかけに、地元を離れて大都市で稼ぐことになる。自分も同じだ、日本語を専門だから、恐らく地元に帰っても仕事がない、友達と話してる時、よく「もう地元帰るな」と言われた。まさに「若者の離れ」だ。
 昨日、東海大学の河井教授の講演を聞いて、ちょっと考えてみた。地元は実際誇れるものがあるが、どうやって差別化を作り出すか、どうやって編集して皆に知られるのは問題である。あまり知られないことは逆に売れるところになるではないかと思い始めた、皇帝の逸話、英雄の生涯、白酒、美味しい料理...一つ一つだけではなく、シリーズとして全部出したらいいじゃないかと。しかし、問題はツールである。
 大分前の時、地元はWeiboで公式アカウントを開設した、自分もフォローしてみた。結構心を込めて運営してると思う、やりとりをちゃんとして、内容も深く考えたようで、問題はなかなかインパクトがなく、集まる人は地元の人だけだった。もちろん、地元の人が感心することをつぶやくのはいいが、ほかの人にRPするのはもっと重要だ、従って地元への愛着も深める。何か中国初ができたらいいなと考えたが、なかなか難しいことだ。

 去年地元に帰って上海を経由した時、常連する掲示板のオフ会を参加した。そして、やはり自己紹介の問題が出てきた、でももう慣れたから別になにも問題がなかった。オフ会終わった時、ある女の子は急に私に声をかけた。「実は私の父もB市出身なんですよ」と、「小さい時上海に来て、友達にからかわないように、それからずっと上海人と自称した」彼女はてれそうに話した。私は「そうですか」と返したが、心のどこか痛くなる。
 いつか、誇りを持ちながら言える日が来たらいいな...

2012年12月7日金曜日

切糕と地域ネタ

 最近、中国のネット上ある「伝説」の食べ物が話題になった。
 この食べ物は西域の特産である。とても高価なので、一般の家族では絶対食べられない。クルミ、ぶどう、バラの花、胡麻、棗などを使い作られ、すでに何百年の歴史がある。
 早速、この「伝説」の食べ物の画像を見てみようか(笑)。
    この食べ物の名前は「切糕」、つい先日はまだ普通の食べ物だったが、ある事件をきっかけに一気有名になった。では、事件のツイートを見てみよう。
 これは湖南省岳陽市公安局の公式微博 (@岳阳公安警事 )のツイートである。簡単に翻訳してみれば、つまり村民の凌さんは新疆ウイグル人の切糕を買った時、言葉が通じなかったため、けんかをした。事件でケガ人二人が出た、切糕の損失はやく16万元(日本円で210万円ぐらい)、壊れたオートバイの賠償と医療費を含めて全部20万元(日本円で260万円)に至った。
 このツイートが出たら、ネチズンは「20万元の切糕?ふざけるな!どれくらい持ってきたの?」と反発し、事件の公平性を問い始めた。自分も切糕の購入を強制されたことがあるという人もいる。その結果、切糕がネタされ、たくさんの冗談が出てきた。その中、今の民族制度まで討論し、「新疆ウイグル人は全部泥棒だ!都市からでていけ!」など過激な発言を言う人もいた。 
    周知のように中国政府は民族区域自治という政策をとってる。政策によって、少数民族は自分の言語を使う権利や法令を制定するなどの権利を持ってる。しかし、民族制度はまだまだ問題点があるだと考えられる。
 少数民族地域は自分の言語を使う権利があるが、実際に言語教育は中国の標準語(普通話)を中心にやってる。そして、経済はまだ発達してないため、都会の人に差別されている。しかし少数民族は漢民族優先的に進学ができるし、公務員採用などにも恩恵に浴するため、漢民族の人もかなり文句がある。
 今現在、中国の経済発展は前よりよくなったが、地域の差は依然として大きい。収入が少ない地域の人はどんどん大都市に行って、仕事を探してる。大都市の外来人口が増えて、治安も前より悪くなった。そんな中、「切糕」みたいなネタが出てきた。
  ネタにされたことが多いのは北京、上海、河南省、新疆、広州、四川省である。北京に関連するネタはだいたいタクシーの乗車拒否問題、行政の管理が厳しい問題である。上海のネタの多くは婚活する女の子である。新疆だったら泥棒が多いこと、河南省の場合は人が多すぎることである。広州は基本なんでも食べるネタで、四川省だったら、ホモのネタだねw
 私から見ると、ネタがあるからこそ、矛盾はそんなに激しくないのだ。もちろん不満があるが、あくまでもツッコミのレベルで、しかしもしそのまま無視すれば、最初述べた岳陽公安局のようにネットユーザーに揶揄されるはず。これをきっかけに、行政側は自分のやり方とあり方を考え直すべきではないかと思う。