2016年11月27日日曜日

或许是让你的日语更native的若干个口语表达?(不定期更新)

    不定期更新的关于日语的口语表达。
    文中举的例子并没有进行实际的考证,所以不确定语法是否正确以及使用范围是否广泛。只是作为自己生活中观察的一个记录而已。


  ■想表达「刚才」的意思,比起「さっき」更多是「いま」
    这是我以前打工时候发生的事情。
    刚刚接待过的客人走后,我想要确认一下刚才自己的接待方法是否正确,于是就对前辈说「さっきのお客様なんですが、◯◯のやり方で合っていますか。」前辈先是说,「あ、いまのお客様?」然后对我的问题进行了回复。这时候我才意识到,在时间间隔不久的情况下,比起用「さっき」,「いま」更显得自然。
    实际上,查字典的话我们可以看到「いま」有「ごく近い過去。少し前に。いましがた。さっき。」的释意。所以想表达刚刚过去的某件事,比起「さっき」,试试「いま」吧。

■用来表示「刚才的不算」的「ごめん嘘ついた」
    具体对话的内容我忘记了,印象中应该是A同事问B同事事情,B同事一开始先是随口回答了一下,然后确认之后说「 あ、ごめんいま嘘ついた。それは◯◯のはず。」
    B同事并不是有意“说谎”,只是随口回答的内容并不正确,在纠正的时候运用了一个表示「 抱歉,刚才的不算」的惯用句而已。

■比起「名前」,「タイトル」可能更加geek?
    这是我在podcast中听到的表现,主持人在和嘉宾聊游戏,说到最近喜欢的游戏的时候主持人是这么问的「最近好きなタイトルは何ですか。」
    尽管我知道「タイトル」但是平时并没有这么用过。让我说的话我大概会说「好きなゲームの名前は…」,不过看起来,在游戏宅中「好きなタイトル」是更加地道的表现。

■「かわいい」也可以表示so easy!
    这是我和同事在谈论满员电车的对话。
    同事「三田線より山手線はずいぶんかわいいもんだよ」
    我「せやな、三田線えぐい混み方してるもんな」
    在这段对话中,「かわいい」有「无害的,弱弱的(让人不禁觉得可爱) 」意思。在想表达「比起A,B更弱得惹人怜爱」,「B更加简单让人亲近」等意思的时候,不妨试试「かわいい」。

■要被闪瞎狗眼啦!在这种情况下可以试一下「かゆいwwww」
    这是最近的事情。参加一个婚礼,婚礼上新郎新娘讲述相识相恋。太过浪漫听的人表示快要被闪瞎狗眼啦,于是一个小哥就一直在起哄「かゆいwwwかゆいぞ!wwww」
    「かゆい」本来是发痒的意思,听了别人的浪漫故事,哇浪漫得要起鸡皮疙瘩啦受不了。在这种情况下或许「かゆい」是最好的表现?
 
■让我耳目一新的「完璧に」
    这是在等红绿灯的时候两个小学男生的对话。
    一个男生对另一个男生说「これ、なんだっけな…完璧に見覚えがあるけど…」给我留下了很深的印象。「完璧」的连用形「完璧に」,用来表示「完全,全部」的「完璧に覚える」「完璧に把握する」经常在日常对话中出现。但是在google上搜了一下这个小男生的话并没有同样的结果。没有进一步地去考证这个用法是否正确,有多少人在用。只是那一瞬间觉得这个用法好灵好可爱。


TBC                                          

2016年11月23日水曜日

捜狗ピンイン入力のビッグデータで解明!中国のネット民は普段何を喋っている?(1)

 おそらく中国で一番ダウンロードされている入力である捜狗ピンインは近日自社のビッグデータ報告をネット上で公開した。
 この全56ページのレポートは、2012年〜2016年までユーザーが入力したトップ5000の単語をピックアップし、中国ネット民の関心事を分類して傾向を分析した。データ量の多さと情報の深さで、中国のネット社会を理解するには絶好の参考資料であると思う。
 内容を全部紹介するには無理なので、私が特に興味深いと思う部分を翻訳して紹介する、ところどころ私の解説も入れたりする(ページ数のない段落)。レポートのリンクは本文の最後に公開するので、興味のある方は是非読んで見てください。



1、入力から見る中国人ネット民の行動パターン
 ・平均的に入力した文字数は50〜55で、情報の閲覧が中心。手で入力するよりも音声メッセージにシストする傾向が見られる。(P5)
 ・一番活躍している時間帯は夜の21時〜23時、仕事が終わって比較的にリラックスできる時間帯である。(P5)
 ・入力からユーザーのアクティブ率を分析すると、中国のネット民は一番SNSを利用する。その次は動画サイトやアプリ、ネットショッピングである。ネット民は政治が好きでよく新聞サイトで投稿するとよく言われるが、実際新聞サイトの利用率はかなり下位である。(P6)

ネット民がよく利用サイト(アプリも含む)
水色:SNS 灰色:動画サイト オレンジ色:ネットショップ 
黄色:個人ファイナンス 青色:ゲーム 緑色:新聞 


2、入力から見る男女、地域、世帯の差異
 ・女性1日平均的に絵文字を使う回数は2.84回に対し、男性は0.74回である。
 ・男性絵文字使用ランキング:😂😒😳😏😬😘😁😭☺️😱😔🌹😍👏😄😙😞😉
  女性絵文字使用ランキング:😂😒😳😭😁😘☺️😏😄😱😊😞😓☺️😍👏😙😡
  人気絵文字の利用には、男女の差はあまりないのは結論である。
 ・男女の差異が見られるのはマイナー絵文字の使用。男性は政治やエロスに興味があり、女性は感情表現が多いのは特徴である。
  男性がよく使うマイナー絵文字:🇨🇳🚉👎🀄️🌷🔞🏀
  女性がよく使うマイナー絵文字:📢🙆💁🐾🎀💃💗🎉❤️💋(P7)

 ・南の地域出身のユーザーがよく利用する絵文字:😂😓💃🙄
  北の地域出身のユーザーがよく利用する絵文字:😂😓😍👍
 ・結論:ネット民全体的にポジティブ的だが、世の中の理不尽さで泣き笑うことも多い。南の地域出身のユーザーのストレートな感情表現に対し、北の地域出身のユーザーは人を立ている。一般的に思われる「南の人が控え目で、北の人がド直球」と全く逆の結論になっている。(p8)

 ・若いほど絵文字をよく利用する。00年後生まれのユーザーは1日2.3個絵文字を使っている、70年代生まれや80年代生まれのおよそ3倍である。(P9)


3、ネット民がよく使う「新語」
2013〜2015年よく入力される新語ランキング

 ・言葉意味の解説
 2013年ランキング
 女漢子:男性のように振る舞う女性。ポジティブな意味として使われる時、自立した女性を指す。ネガティブな意味として使われる時、デリカシーのない女性を指す。
 紅米:中国メーカー「小米(xiaomi)」のスマートフォン製品。
 点賛:「いいね」を押す(Facebookではなく、wechatのモーメンツの投稿を「いいね」することである)
 土豪金:13年発売されたゴールドiPhone5sのことである。黄色(金)は中国で金持ちのイメージがある、さらに機能はiPhone5とほぼ同じで限定色のためだけにiPhone5sを買い換えることは金持ち(土豪→成金や普通の金持ち)でしかできない、という二つの意味合いでこの言葉が誕生した。
 爸比:パパのこと、13年でヒットしたバラエティ番組「パパどこ行くの」で出演した子供が言った言葉、あまりにも可愛かったので、流行語になった。
 脳残粉:厨房、狂熱のファンのこと。好きすぎて冷静な判断ができないファンを揶揄する言葉。
 人艰不拆:略語、フルバージョンは「生已经如此的难,有些事情就穿」(人生はもうそんなに辛いのに、そこまで言わなくても分かるでしょう)である。元ネタは人気歌手林宥嘉のヒット曲「说谎」(嘘をつく)の歌詞。
 高端大气上档次:ハイクラス、ハイセンス、ハイレベル。元ネタは中国大人気ドラマ「武林外传」のセリフである。
 美腻:「美丽」のこと、きれい。特に元ネタがなく、ギャル言葉的な感じ。
 余額宝:中国の電子商取引大手アリババグループが始めた投資商品である。


                                           TBC

2016年11月6日日曜日

たぶん一生使わないであろう同人中国語(一)

【単語】
クロスオーバー/乱炖(luàn dùn)
【解説】
 乱炖は元々中国東北地区でよく使われる調理法の一つである。手元にある野菜、お肉を適当に味付け、煮込んで完成。食材区別せず使うという意味から派生し、日本語の「クロスオーバー」と同じ意味として中華ヲタの中で使われている。普段の会話ではあまり使われないかもしれないが、動画のタイトルやタグでよく見かける。
 余談だが、この使い方はアニヲタやマンガヲタからのものではなく、中国の時代劇や武侠ドラマクラスタ発である。彼らは違うドラマを素材にして、いろんなシーンをピックアップし、最後にオリジナルの動画を作ったりする。その際よくタイトルで「乱炖」をつけたので、このジャンルがのちに定着した(2013年以後中国産大ヒット時代劇が多く、素材を多く提供したのは原因だと考えられる)。
 もう一つの余談だが、欧米映画、ドラマクラスタもよくこの編集手法を利用する。その際ジャンルを区別するには、「乱炖」ではなく、「混剪」を用いる。「混剪(hùnjiân)」はリミックスと同じ意味合いで理解していいと思う。類似語として、「群像(qún xiàng)」も挙げられる。ここ中国語の「群像」は日本語と同じ意味である。
【用例】
 使い方として「複数の作品名+乱炖」と「一つの作品+カップリングの乱炖」がある。前者は「クロスオーバー」の意味で、後者はクロスオーバーかまとめ、違う意味があるので、ケースバイケースで判断するしかない。例えば、
①中国語動画タイトル「瑯琊榜×伪装者 CP大乱炖」
日本語訳「瑯ヤ榜×偽装者 クロスオーバーカップリングのおすすめ」
②中国語動画タイトル「Free! CP大乱炖 哪个才是你的菜?」
日本語訳「Free!カップリングまとめ あなたはどれが好き?」


【単語】
クロスオーバーカップリング/拉郎配(lā láng peì)
【解説】
 よくクロスオーバーと一緒に使われる単語、文字通りの意味で、「郎=キャラクター」を無理やり「拉=引っ張る」、「配=カップリングさせる」ということである。腐向けの二次創作でよく見かけるが、別に百合でもNLでも可。
【用例】
中国語動画タイトル「银魂×黑篮 腐向CP拉郎配」
日本語訳「銀魂×黒バス 腐向けクロスオーバーカップリング」


【単語】
ひとりで受け攻め/自攻自受(zì gōng zì shoù)or 水仙(shuî xiān)
【解説】
 文字通りの意味で一人で攻め、受け両方をやること。主にアニヲタや声優ヲタで使われ、「中の人」のネタがほとんどである。中国の時代劇クラスタでは、同じ意味で使用されている言葉、「水仙=ナルキッソス」が挙げられる。勘が鋭い方も気づいたと思うけれども、元ネタはギリシア神話に登場する自分に惚れた美少年である。「自攻自受」は話し言葉でも使われているが、「水仙」はだいたいタイトルやタグで使用され、ジャンルを意味する言葉である。また、「自攻自受」が使える範囲が広く、「水仙」は俳優さん限定の場合が多い。
 余談だが、歌い手あるいはネット上吹き替えする場合、一人で男女や攻め受け両方のボイスを担当したりするので、「自攻自受」とも言える。ゆえに、「自攻自受」はBL、GL、NL問わず使えるが、「水仙」は腐向けのみ。
【用例】
①中国語「可以自攻自受的声优我只服遊佐浩二!」
 日本語訳「攻め受け両方いける声優さんは遊佐浩二さんしか認めない!」
②中国語タイトル表記「翻唱 magnet 自攻自受」
 日本語訳「ひとりでmagnetを歌ってみた」
(元ネタが分からない人用:【初音ミク・巡音ルカ】 magnet 【wav(PCM)1411kbps】
③中国語タイトル表記「馬天宇古装群像 水仙向」
 日本語訳「馬天宇時代劇姿コレクション 一人カップリング 腐向け」


【単語】
リバ可/(CP)可逆(kê nì)
【派生】
(CP)可逆不可拆(kê nì bù kê chāi) →別軸リバ
(CP)可拆不可逆(kê chāi bù kê nì)→右固定左固定
【解説】&【用例】
 まず念のため、リバの意味を説明したいと思う。リバとは、カップリングの受け、攻めを固定せず、特定の二人の組み合わせであれば受け入れるということ。具体例をあげたほうがわかりやすいので、銀魂のカップリングを用いて説明したいと思う。
 例えば私は土銀、つまり土方十四郎×坂田銀時のカップリングが好きで、その逆カップリング、つまり銀土は地雷だと思う。ただし銀時が総受け、つまり高杉×銀時や沖田×銀時は美味しくいただく。この場合、中国語で「土银可拆不可逆」の表現を用いる。日本語で訳すと、「土銀のリバは地雷だけど、銀時総受けはアリ」になる。
 私の腐女子友達Aは土銀、銀土の同人誌両方とも読める、ただし土方や銀時と他人のカップリングなら地雷の場合、「土银可逆不可拆」になる。分かりやすく言うと「この二人じゃなきゃダメなんだ」的なニュアンスである。


【単語】
相愛相殺(xiāng ài xiāng shā)
【解説】
 中華ヲタ発のオリジナル言葉、愛し合うのにお互いに傷つけ続ける複雑な関係性を指す。日本語に同じ意味の言葉は分からないが、腐れ縁あたりはいいかなと考えている。元ネタは現在考察できないが、2010年放送されたデュラララシズオ×イザヤのカップリングが大ヒットしてから中華腐女子はこの言葉を積極的に使うようになったと私は記憶している。
【用例】
中国語「这个CP相爱相杀炒鸡萌」
日本語訳「この二人は愛し合うのに組織の立場で戦うしかないなんて萌え死ぬ」

2016年10月2日日曜日

なぜいまの中国でも字幕組を必要とするか(下)

なぜいまの中国でも字幕組を必要とするか(上)

 前の記事では、字幕組が必要とする一つ目の理由を紹介した。この記事で残り二つの理由を紹介し、今回中国人が逮捕された中国国内の反応と今後予測の動きについても少し言及したいと思う。

 
 ②見るアニメが多いならダウンロードしたほうが楽というせつ
 日本ではテレビで録画して視聴することはまだまだ主流で、ネット上で視聴する場合、有料動画配信サイトに月々何百円払えば、基本今季のアニメ全部見られる。しかし、中国の動画サイトの場合、有料会員になっても全部アニメを見たければ、複数のサイトを使わざるをえない。「中国動画サイトの「大航海時代」が来臨、ニコニコ動画もそろそろ中国に進出したら?」この記事で紹介したように、放送権は各サイトによって分散されている。
 結局のところ、各サイトのアカウントを作り、複数の動画サイトを利用することは手間がかかる上、広告も見なければならない(60秒以上飛ばせないCMがほとんど)。そのほか、無料会員が見られる画質、コンテンツの種類も制限されている。例えばtudouでは、無料会員が見られるのは720Pまで、ハイキュー!!やジョジョなど独占放送コンテンツは別料金。有料会員ならもちろん無制限。こういった制限を外したいなら月々15〜30(300〜800円)元程度払えば安く済むと思うかもしれないが、複数サイトを利用するとそこそこいい出費になる。
 オンライン視聴と比べ、字幕組が作成したアニメをダウンロードする場合、少なくとも無料かつ高画質、広告なし、複雑なアカウント管理が不要と言ったメリットがある。また中国の「国家新聞出版広電総局」に検閲されるリスクを回避することもできる。

 業界内部はどういう仕組みでできているのか私には分からないが、今ネット配信に関する2部の法令[注1]から推測だと、tudouやyoukuなど中国大手動画サイトは中国国家新聞出版広電総局発行するなんらかの許可証を持っているはず。これは自社で放送内容を検閲できることを証明するものであり、国家新聞出版広電総局の直接管理を介せずにアニメ放送することができるあくまでも個人の推測であり、詳細は後日記事にて紹介する)。ただし、放送後悪い影響が出てて国家新聞出版広電総局がクレームを受ける場合、国家新聞出版広電総局は放送中の作品を中止させたりする権利がある。中国で「甲鉄城のカバネリ」が一度放送禁止になったことはおそらくこの仕組みが動いたからであろう。

 つまり、放送決定のアニメでも突然視聴できなくなる可能性があり、また暴力シーンやエロいシーンが最初からカットされることもおかしくない。こう言ったリスクを回避する手段の一つとして、字幕組が存在している。国家新聞出版広電総局が動画サイトの運営会社ごとに命令を出せばオンライン視聴の規制は効くけれども、ダウンロードはあくまでも個人行為なので(字幕組も広い意味での個人行為)、そこまで管理できる余裕はないと思う。結果的に、国・政府の規制から逃す可能性も大きい。この意味から考えると、規制がある限り、字幕組は何らかの形で存在すると思う。


③ここでしら得られない情報量と所属感
 以上二つの原因は利用者側から考えたものであるが、実は字幕組のメンバーとして、字幕組を必要とする理由も存在すると私が思う。具体的な説明に入る前に、予め字幕組の仕事のおさらいをしたいと思う。細かい分担はさておき、字幕付のアニメを公開するには、最低限必要とする手順は以下である。
  • 字幕なし(いわゆるraws)のアニメファイルを入手。自宅で録画しアップロードする人もいるが、tokyo toshokanやnyaaで直接ダウンロードすることも可能
  • 翻訳
  • 校正
  • Aegisubなどソフトウェアを使い、字幕ファイルを作成する
  • 字幕ファイルと動画を結合させる
  • FTPサーバにファイルをアップロードし、ダウンロードリンクを生成する
  • 掲示板/SNSなどでリンクを発表する 
 字幕組内部では、こういったフローができて、実に合理的な組織である。翻訳は普通日本語能力試験N2以上の資格を持たないといけない、初心者でも可。校正はN1資格を持つ人かベテランが担当する。翻訳に関するデスカッションはグループチャットで行う、これで日本語の切磋琢磨ができ、まずは日本語の向上につながる。それに、日本語が分かる人が多いため、ここで交換される情報は翻訳されたものではなく、きちんと日本からの一次情報なので、普通のSNSより数が多く、質が高い情報が得られる。
 字幕組はボランティアだと言われるが、確かに金銭的な報酬がない、ただし代わりに掲示板などオンライン上の「特権」がもらえる。より簡単に限定のコンテンツをダウンロードすることとかができるので、日本語ができなくても字幕作成の手伝いなどをすれば、ある程度のメリットがついてくる。

 言語の壁がある限り、字幕組がないと何もできないので、字幕組は中華オタクたちに尊敬されている存在である。日本と違い、作り手はまだまだ少ないため、字幕組はある程度「クリエイター」としての尊敬が得てる。「オタクカースト」のてっぺんはちょっと言い過ぎかもしれないが、ボランティアでやってる以上、批判してはいけないという悪い風潮はある程度存在すると思う。例え字幕組のやり方や翻訳に不満があってクレームを言ったら普通のオタクに攻撃されてしまい、そしてその際の決まり文句はだいたい「你行你上啊=やれるもんならやってみな」である。

 以上が私が考えた今の中国でも字幕を必要とする理由である。中国側SNSを見る限り、今回の事件への反応が落ち着いた感がある。「残念だが、日本の警察が間違いなし」というような大人のコメントが多数支持を得ている。正式放送が進んでいる中、著作権に対する意識が高まる一方、今まで字幕組のお世話になったという「共犯者」同士の連帯感も目立つ。今後おそらく字幕組を使う人が徐々に少なくなると思うが、しかしアニメ放送は中国でビジネスとして成熟すればするほど、昔はよかったという感慨する人も増えるであろう。

 

 最後までの記事を読んで、「じゃ動画サイトの運営側は字幕組の翻訳を採用したら皆幸せじゃないの」と思う人もいるかもしれないが、その原因はまた次回で分析してみよう。



注1:
主に参考できる法令はこの二部である。
>>《関于加強互聯網伝播影視劇管理的通知》
(インターネットにおけるドラマ放送の管理強化に関する通知)
広電総局が2007年12月29日に発布。
>>《関于進一歩加強網絡劇、微電影網絡視聴節目管理的通知》
(インターネットにおけるネットドラマ及び映画視聴の管理強化に関する通知)
広電総局が2012年7月6日に発布。 

注2:
主な内容: 《互聯網視聴節目服務管理規定(インターネット視聴番組サービス管理規定)》に関連する規定として、ネット上で配信するドラマ (国内外の映画、ドラマ、アニメ、及び相応する音楽・映像ソフトを含む)に関する通知。 インターネットで配信する映画・ドラマ・アニメは、国家広電総局が発行する「電影片公映許可証」(映画上映許可証)、「電視劇(電視 動画片)発行許可証」(ドラマ(テレビアニメ)発行許可証)もしくは「電視動画片発行許可証」(アニメ配給許可証)を法に基づき取得し、 同時に著作権所有者からインターネットにおける映像上映権利を取得しなければならない。これら許可証を所有しない映像に関しては、 インターネットで配信(視聴サービスを提供)してはならない。

参考ソース:
中国コンテンツ市場調査 (6分野) 2012年 11月 日本貿易振興機構 (ジェトロ) 



TBC

2016年10月1日土曜日

なぜいまの中国でも字幕組を必要とするか(上)

 最近、中国人字幕組メンバーは逮捕されたニュースがツイッターであっちこっち拡散されている。個人的に興味深いと思うのは、違法アップロードされたアニメは「アルスラーン戦記」であることだった。
 中国のネット事情をご存知の方だったら分かると思うが、最近の中国動画配信サイトは正式放送がほとんどで、「アルスラーン戦記」につきまして、少なくとも3社(bilibili動画、PPTV、iQIYI.COM)が放送権を所有している。さてここからは本題、なぜ正式放送へシフトしつつなか、未だに字幕組への需要があるだろうか。少なくとも三つの原因があるかと私が考えている。


①字幕組の選別から見えるオタクとしてのリテラシー
 今時オンライン、いわゆる動画配信サイトでアニメ番組を見る中華オタクが多いと思うけれども、少し前の中国は字幕組の戦国時代であった。原因の一つは中国動画サイトの放送権購入、もう一つはダウンロードしなくてもローミングかオンライン視聴ができる携帯電話やインターネットなどITインフラの整備だと考えられる。
 コンテンツ自体区別がないなら、どうやって自分が作成した字幕をより多くの人に見てもらおうかというと、より高画質の映像を提供するのもそうだし、やはり字幕への工夫がポイントである。字幕作成のスピードはもちろん、翻訳の正確性、元ネタの解釈、日本語字幕の提供、字幕スタイルの調整(サイズ、色、フォント、アニメーション)などなど様々な工夫が必要とされる。作品への愛がない限り、オタク知識が豊富でない限り、なかなかできないタフな仕事だと思う。そして、それを分かって、あえてこだわりを持って選ぶこそ中華オタクだ。
 私が字幕組をよく利用した時のことになるけれども、字幕組によって得意とするジャンルがある。そのオタクが利用する字幕組によってオタク歴を判断することは、少なくとも私がある。
 いくつの例をあげよう。
 猪猪字幕組:スピードが一番早いが、間違いが多い。素人が選びがちの字幕組
 極影字幕組:最大級だと言われるBTダウンロードサイトを所有し、ダウンロード量が圧倒的に多い
 澄空学園:ギャルゲー掲示板発祥の字幕組なので、ゲーム原作のアニメに強い
 華盟字幕組:翻訳の質が高く評判よい。ただしスピードはやや劣る、根強いファンが多い
 HKG:遊び心があって個性が溢れる字幕組。センスのいい翻訳で人気が高い
 軽之国度:ラノベ掲示板発祥の字幕組。ラノベ原作のアニメに強い
 WOLF:腐向けアニメに評判のある字幕組
 諸神字幕組:日本語/中国語両方字幕を提供するので、日本語学習者の中で人気が高い
 千夏字幕組:百合アニメが得意
 LAC:銀魂専門の字幕組。細かい元ネタの説明が良心的だと評価されている
 このように、一見同じように見える字幕組だが、それぞれ個性があり、強み弱みがある。見るアニメによって違う字幕組を選びたいならオタクとしての高いリテラシーが必要である。自分が「分かる」オタクを示す一つの手段でもある
 
 ところで現在、動画サイトで正式放送される場合、代理店や業者にお願いすることが多い。下の図はビリビリ動画正式放送版「食戟のソーマ」のスクリーンショット、ご覧の通り、字幕は代理店が翻訳したものである。


 業者さんの字幕は基本オタクたち最低限のニーズしか満たせない。元ネタの解説はもちろんないし、OPやEDの歌詞もそんなに気を使わない。それに不満があり、依然として字幕組を利用することが多いと推測できる。その代表例は、正式放送の黎明期の時、「銀魂」の字幕をめぐっての争いである(詳細は過去記事を参考してください:八子のブログ(旧館)最近の事件から見る中国オタク向け動画サイト)。また、オンラインで視聴した後、画質がよく、完成度の高い字幕組のアニメファイルをダウンロードし、コレクションをする中華オタクも依然として多いであろ。

2016年9月24日土曜日

Bilibili取締役陳睿のスピーチを翻訳してみた(下)

Bilibili取締役陳睿のスピーチを一部翻訳してみた(上)

 鬼畜もビリビリ動画で特徴のあるコンテンツの一つです。鬼畜は自虐ネタで、もともとは二次創作用語でした。初心者のうp主の作品がひどくて見づらかったので、「鬼畜」だと揶揄されています。ただし、ちゃんとできた鬼畜作品は本当に面白くて、私たちが馴染んでいる作品を違う形で表現できます。

 人文科学もビリビリ動画で言及するに値するコンテンツです。その代表的なドキュメンタリーは「我在故宫修文物(私は故宮で文物を修繕している)」です。放送されてから、登場人物の王先生は大人気になりました。この王先生は故宮で30年以上働いている普通の従業員です。このドキュメンタリーは中国中央電視台が制作したもので、私たちは放送権を買いました。若者はこのドキュメンタリーを見て感じたのは、職人気質というのは日本だけのものではなく、私たち中国においても職人がいますし、日本の職人気質はそもそも中国からのものでした。もし百度(中国の検索サイト)でこのタイトルを検索したら、ビリビリ動画は必ず検索結果に出てきます。ビリビリ動画はこの後、中国中央電視台と共同制作をすすめ、今年中劇場版を出す予定です。

 ビリビリ動画のユーザーがすごく若いです。テンセントの統計によると、0~17歳のユーザーが大部分に占めています。次は18~24歳のユーザーで、25歳以上のユーザーは10%弱です。25%のユーザーの年齢は未公開なので、実際、ビリビリ動画では17歳以下のユーザーはおそらく半分以上を占めています。18~24歳のユーザーはだいたい30%です。ちなみに、私たちオフライン調査の結果によると、北京・上海・広東の大学生と中学生の中で、ビリビリ動画のユーザーは学生の半分以上に占めています。一方、ビリビリ動画の本拠地である上海の調査結果を見てみますと、復旦大学でよくビリビリ動画を利用する学生は94%でした。

 こういった若いユーザーとよく交流するようになったら、彼らに対してより深い理解を得ました。大人たちはよく「90年以後生まれの子はサブカルチャーしか興味ないのでは」「00年以後生まれの子はもう彼氏/彼女作っているよね」と心配をしています。実は今時の子供は前の世代よりずっと強いです。90年以後生まれや00年以後生まれの子たちは子供の時から豊かな生活を送っていますし、いい教育を受けていますので、自国の文化に自信があります。彼らは道徳・自立・教養のある世代です。彼らは著作権を大事にしていて、 列に割込みやコネを使うような行為に反感を持っています。彼らは本当に自信のある世代です。
 
 90年以後、00年以後生まれの子供は私の世代とそんに違うのは、物質生活や教育だけではなく、彼らは早いうちにインターネットを利用したからだと思います。インターネットは大変よいもので、人の視野を広げ、人とのコミュニケーションを促進できます。

 私は1997年、19歳のときインターネットを利用し始めました。その後、私が22歳になったとき、やっと仕事でブロードバンド ネットワークを利用するようになりました。その後私が三ヶ月間で見たアニメ、漫画、映画の数はこの22年間見たものより多かったです。最近、上海の高校にも調査に行ってきました。その中で1000本以上の映画を見た高校生はすごく多かったです。私と同年代の人なら、1000本以上の映画を見た人はそんなにいないと思います。時々私は考えています、なぜアメリカは2005年のとき、YOTOがあって、なぜアメリカ人が彼ら独自の文化を持っていますかと。それは、1970年代からアメリカの家庭ではビデオテープレコーダが使われているからです。彼らはインターネットが誕生した前、すでに創作できる環境が整っています。しかし、中国人はインターネットが出来てから視野が広くなって、創作の環境を手に入れました。私たち中国人と外国人は同じく創造力を持っています。唯一の違いは、私たちの視野が狭かったです。しかし、90年以後、00年以後生まれの子供たちは違います、彼らは本当の創造力を持つ世代です。

 ビリビリ動画はコンテンツを作るコミュニティではなく、クリエイターにサービスとプラットフォームを提供する会社だと思います。私たちはコネクターでうp主とユーザーをつながります。個性的かつ多様な文化を好む人々がビリビリ動画は楽園だと本気で思わせたいです。

 私たちの次の世帯なら各種のクリエイターツールを熟知していて、一人一人はクリエイターになれます。ビリビリ動画は彼らを支えるプラットフォームになりたいです。私たちはオンラインのサービス以外、BML(Bilibili Macro Link)というオフラインイベントも主催しています。オフラインでうp主と視聴者たちが出会える場を提供します。

 今年のBMLでは、洛天依の登場は一番注目されていて、来場者数は1万人を超えました。洛天依はビリビリ動画の心を象徴しています。洛天依はあくまでもプログラムです、しかし私たちクリエイターが曲を作り、彼女に歌わせました。数えられない曲は洛天依に生命力を与え、彼女はメルセデス・ベンツ文化センターの舞台でコンサートを開催するこを実現しました。なぜ人が集まりましたか、それはうp主とビリビリ動画は彼らに楽しい思い出を提供し、彼らはうp主とビリビリ動画に感謝しているからです。楽しみを作り、多様な文化を作り、次世代の文化の楽園としてのビリビリ動画を作り、それが私たちがやりたいことです。

2016年9月23日金曜日

Bilibili取締役陳睿のスピーチを翻訳してみた(上)

出典:http://36kr.com/p/5053318.html

※全文翻訳ではなく、自分が思うポイントのところのみ翻訳した(8割程度
※意訳である

 2009年、ビリビリ動画はオタクのみで作られたコミュニティでした。その時、ユーザー数が少ないでしたが、ユーザーの属性が統一で、コアなオタクばかりが集まってきました。このコミュニティではオリジナル/創作が好まれ、コアなオタクたちのニーズを十分に満たしたため、規模が少しずつ大きくなりました。アニメから歌ってみた、踊ってみた、テクノロジー、ファッション、生活、鬼畜など様々なコンテンツを生み出しました。

 現在のビリビリ動画では、人気検索タグはすでに7000以上を超えました。なので、今のビリビリ動画は7000種類人気のあるクラスターによって構成されたコミュニティだと言ってもよいでしょう。ビリビリ動画をよく利用する人は「万能のビリビリ」という言葉を聞いたことがあるだろうと思います。それは、ビリビリ動画では様々な人が集まってきたからです。

 趣味で集まった人々が増え続け、現在1億のアクティビティユーザー、百万のアクティビティうp主を有します。毎日万レベルの動画はアップロードされ、その中九割がオリジナル作品です。

 ビリビリ動画代表的なコンテンツといえば、アニメが挙げられます。ビリビリ動画でアニメを見ると、弾幕=コメントがあります。このコメントはサイトの機能の一つだけではなく、気持ちを表すツールでもあり、他のユーザーと一緒にアニメを見るという連体感を与えます。

 日本のアニメだけではなく、中国オリジナルのアニメも注目されています。はじめから、ビリビリ動画では中国オリジナルアニメ作品のファンが集まってきました。ビリビリ動画は最大級の国産アニメファンのコミュニティだと言えってもよいでしょう。ほとんどの中国オリジナル作品はビリビリ動画で配信されています。

 「那年那兔那些事儿(その時、その兎、その出来事)」は完全なる国産オリジナルアニメで、しかもネット上コミュニティ発祥でした。愛国テーマにしたアニメなので、弾幕=コメントを見る限り、共感したユーザーが多いと感じました。若者がこのアニメを見ると、愛国主義の教育にも受けられます。今まで説教の愛国教育と一線を画し、共感が得られるものでした。

 私はビリビリ動画を運営する時、感じたのは、若者(90年以後生まれ、00年以後生まれ)は実にこの国を愛しています。彼らの生活が豊かで、いい教育を受けています。彼らは本気で中国で生まれて良かったと思っていますし、彼らは本気で中国を愛しています。

 次は音楽コンテンツを紹介したいと思います。ビリビリ動画では、毎日1000以上のオリジナル曲が投稿され、ビリビリ動画はすでに中国最大級のオリジナル音楽コミュニティになっています。今年李宇春は湖南衛星テレビで歌った曲はビリビリ動画発のオリジナル曲で、VOCALOIDキャラクター洛天依歌ったものでした。当時、たくさんのマスメディアはこれについて報道し、「二次元と三次元の壁をやぶった」と言いました。
 
 音楽コンテンツについて、「九九八十一」の例もあげたいと思います。それは複数のうp主によって共同創作のオリジナル曲でした。2016年の旧暦春節、彼らがこの中華風のソングを発表しました。ちなみにタイトルとテーマは「西遊記」からでした。この曲の面白いところは、「西遊記」中の登場人物を全て性転換をしたことでした。この設定はユーザーたちに大変受けまして、二次創作物まで出てきました。ビリビリ動画においては、音楽創作は大変活気のあるクラスターだとお分りかと思います。

Bilibili取締役陳睿のスピーチを翻訳してみた(下)

2016年9月22日木曜日

細かすぎて伝わらないビリビリ動画の弾幕事情

 中国のオタク事情に少しでも理解がある方だったら、一度ビリビリ動画のことを聞いたことがあるだろう。
 最初はニコニコ動画のパクリとして知られ、しかし動画サイトとしての完成度は日本人オタクの中でも話題になった。最近、日本アニメの正式放送権[注1]を得たり、日本のモバイルゲームの代理権[注2]を獲得したりして、動画サイトだけではなく、中国オタク文化一つ重要なプラットフォームとして広く知られている。
「本家」のニコニコ動画に似ているけれども、ビリビリ動画は中国独特のオタク文化を生み出している。同じく「弾幕」[注3]でも、違う使い方がたくさん見られる。本記事では、こういった違う使い方をいくつ紹介したいと思う。

1、空耳の場合
 ニコニコ動画で見る限り、複数のユーザーが投稿し、ところどころの空耳コメントを入れるのは一般的である。ビリビリ動画では、もちろん同じ習慣があるものの、特定の誰かが空耳のコメントを投稿し、OPまたはEDの全曲をやるのも多かった[注4]。
 それでは、具体例を挙げつつ、説明していこうと思う。

例1:「アルスラーン戦記」OPの空耳@ビリビリ動画




 ご覧の通り、画面の上に緑色のコメントがあり、それはいわゆる「空耳弾幕」。特徴として、場所は上の真ん中、いつも同じ人が同じ色のコメントを打ち込む。「空耳弾幕」を作るには時間がかかるため、弾幕作者はいつもコメント欄か、弾幕の中あらかじめて宣言しとく、例えば「我是绿色空耳菌(君),现在开始施工(私は緑色空耳くん、今から空耳弾幕の工事をする)」。先に宣言しとくと、他のユーザーは同じ色を使わなくなるので、弾幕はより読みやすくなる。ちなみに、ここに二つの弾幕用語がある。
 ①空耳菌(君):空耳弾幕職人のこと。「菌」の中国語読みは「君=くん」と同じで、ちょっとわかいい言い方である。
 ②施工:弾幕を打ち込むことは「施工=工事」と言う。派生の単語として「施工现场=工事現場」がある。弾幕職人は弾幕を作っている最中動画を見てしまったことを指す。

例2:「この美術部には問題がある」OPの空耳@ニコニコ動画



例3:「この美術部には問題がある」OPの空耳@ビリビリ動画



 ニコニコ動画とあまり違いのないビリビリ動画の弾幕だが、若干カラフルな感じがする。推測だが、日本ユーザーは「弾幕(カラフル、多彩な表現)」と「コメント(デフォルト、たまに赤字)」を区別して使うことに対して、中国ユーザーはこの意識がないので、この結果になってしまったのではないと思う。

2、野生字幕の場合
 まず「野生字幕」という言葉の意味を説明しよう。野生の公式という言葉があるように、字幕組の翻訳ではないけれども、日本語の分かるユーザーが先に翻訳してみたという意味合いで理解していいと思う。ルールがあまりないが、字幕らしく下の真ん中に置くのは普通。色はデフォルトのホワイトが多いが、たまにキャラに合わせて色分けする場合もある。

例:黒バスNG集@ビリビリ動画

 
 ちょっと見づらいが、下の真ん中は二人の台詞で、きちんと緑と紫で分けられている。タイトルの「生肉」とはまだ字幕組に翻訳されていないアニメや動画のことで、「野生字幕君」は字幕組に翻訳されていないが、他のユーザーによる翻訳があるよという意味である。

3、黄色、緑色、ピンク...etcの場合
上の例を見ていると中国のオタクたちはよくいろんな色を使っている。キャラを分けるのはもちろん、それ以外でもいくつパターンがある。

例1:黄色 
 中国語を勉強している人なら分かると思うが、中国語の中、黄色にはわいせつやひわいの意味があり、日本語の「ピンク」とよく似ている。なので、エロいシーンを見る際やわいせつな考え方があったら、自己申告みたいに「あれなんで私いま黄色くなった」をコメントすることはよくある(赤ラインのコメント)。
(via:「この美術部には問題がある」11話@ビリビリ動画)

例2:緑色
 これも中国語に関係するが、NTRは中国語で言うと「戴绿帽=緑色の帽子をかぶる」になるので、NTRシーンのコメントを緑色で打ち込むのが上級者である。もちろん黄色との組み合わせも可能。


(via:「この美術部には問題がある」10話@ビリビリ動画)
 
 緑色弾幕のパターンはいくつある。上のシーンで例えをすると、
①我怎么变绿了=あれなんで私が緑色になった?
②我是女主绿=私はヒロイン緑です(もちろんキャラ名に変えても可、私は宇佐美緑ですとか
③@宇佐美=文字通りの意味で、@の後ろにNTRされたキャラが付く
 だいたいこの3種類があると思う。

補足:顔表立
 よく弾幕の中で「顔表立」を見られると思うが、それは「色(=中国語の顔色)は立場を表す」の意味である。例えば、魔法少女まどか☆マギカの中で、ピンク色を使って「顔表立」をコメントすると、私はまどか推しだという意味になる。

4、その他のシチュエーション
例1:yooooo
 まずyooooの元ネタはこちら↓ 

Don't watch an anime called Boku - YouTube

 おそらく日本でもこの動画は広がっていると思うが、yoooは思った以上に浸透していない。しかし中国のオタクの中、yooooはかなり高い頻度で使われている。もともと男の娘が出る動画で使われた弾幕であったが、使用範囲がだんだん広くなり、最近BLのシーンでも使われるようになった。

例2:囍



(via:「DAYS」ED@ビリビリ動画)
 
 囍は双喜字と呼ばれ、めでたい時使われているしるしで、特に結婚式でよく使用されている。BLGLNL問わず、カップリングの二人が画面上でアップされた時/カップリング成立の時/惚れた時などなど、赤文字で「囍」をコメントすると自分の喜びの気持ちが伝わる。ちなみに、カップリングの二人の距離が近すぎてそろそろキスしそうだけどキスできなかったとき、「按頭小分隊」の弾幕がよく見られる。それは「二人の頭を押し隊(たい)」「二人をキスさせ隊(たい)」の意味で、囍の弾幕の相性がなかなかいいと思う。

 いかがでしょうか。同じ弾幕系のサイトでもそれぞれローカルの特徴がたくさん見られると思う。今後、また面白い弾幕を見つけたら随時更新したいと思うので、どうぞ楽しみに。



注釈:
注1:ビリビリ動画においては、BiliBili正版のタグがつけられ、さらに電子透かしを埋め込んでいるアニメは放送権が有するものである。それ以外はユーザーアップロードコンテンツである。詳しくは→中国動画サイトの「大航海時代」が来臨、ニコニコ動画もそろそろ中国に進出したら?
注2:Fate/GOや魔法少女まどか☆マギカなど、一覧はこちら→bilibili遊戯中心 
注3:本記事においては、弾幕=画面上で流れるコメントという意味を用いる。「弾幕」の意味詳しくはことら→ 弾幕シリーズ(仮) 一、弾幕そのものとちょっと情報学っぽいもの(1月28日更新
注4:本ブログ以前でも取り上げたことがあるので、よかったら参考してください→おもろい中国語の空耳を翻訳してみたーー「太陽曰く燃えよカオス」「紅蓮の弓矢」

2016年6月5日日曜日

自由について語るときに私の語ること

 「研究室の皆が目を見張り、『え?うそ?中国が日本より自由だと?』と声を上げた。」
 友達はそう語った。
 「日本人は信じられないかもしれないが、私が日本に四年暮らして確かにそう感じたのだ、中国の方は遥かに自由だ。」

 「日本が自由だ、そして中国は不自由だ。」
 おそらく80%以上の日本人はそう思う。中国人で、日本で長く暮らして、反論を言う時、大抵の日本人は原因を問わず、先に否定しようとする。まあ、それはそうだろう。そもそも最初から「自由」文脈が違うものだ。
 日本人が言う「自由」はいわゆる「言論の自由」や「出版の自由」など法律上で決められるもの。一方、中国人が言う「自由」はだいたい自分が置かれる環境の居心地の良さを示している。前提が違う日本人と中国人が「自由」について議論する時、当然ながら食い違いが生じてしまう。

 その認識のギャップを全面的に表面化したのはこちらのニュースである。
小学生で中国から日本に移住した女性が語る、日本で成長することの苦悩
少し抜粋すると、
「自分の生活習慣を変えざるを得なかった」
「私の生活や言動は小さな空間に圧縮され、みんな私に『女性としてこれはすべき、これはすべきでない』と言ってきた」 
  「郷に入っては郷に従え」、前者に関して仕方がない部分がけれども、後者は日本人にとって耳が痛い指摘だと思う。
 中国人が政府から押し付けられる「不自由」は確かに存在するが、感情的な、内面的な自由は持っている。日本のように、空気を読む圧力、集団行動の圧力など、いわゆる「同調圧力」は極めて少ないと考えられる。そしてその「同調圧力」は「言論の自由」を脅かしつつある。

 昨日の6月4日は天安門事件の日だった。予想の通り下記のような言論は散々見られる。
この手の言論、パッと見たら「まあそうでしょう」と思うかもしれないが、それを考えずに受け入れると大きな思い込みができてしまう。私は中国政府がしたことを反論するつもりがないし、五毛でもない。単純に「日本は自由だ」や「中国は自由だ」という言い方について皆さんが考えていただきたい。

 「話し手は誰だ。」
 「何についてそう言った。」
 「この文脈中の『自由』はどういう意味。」
 「実際のところ私はどう思った。」
 「他の可能性や見解はあるだろうか。」

 こういうことを考えるのは実際当たり前だよね。皆は情報リテラシーを持つ大人で、学校や会社でも「常に考える」と教われたはずだ。

 五年前、言論の自由への憧れを持ちながら来日した私は、検閲を受けない日本言論空間でインターネット民主主義の手かがりを探しようとした。しかし現実は失望的に、「同調圧力」は新たな「検閲」となり、私が見たかった熟論による市民の合意はどころか、レッテル貼りやネットによるヘイトスピーチが進み、ネットの力は変な方向で使われている。中国のネット空間への検閲も厳しくなる一方で、日中どっちも大変残念な現状になってしまう。
 少しでも今の日本社会をよくしたいなら、日本の「自由」や「同調圧力」を考えたほうがいいと思う。同調した結果、私たちは何を得られるか、何を失ってしまったか、同調とどう対面すべきなのか、もう一回検討しようじゃないか。