2015年11月28日土曜日

トマトはカレールウ

 ご飯のおかず一つだけしか選べない場合、私間違いなくトマトたまご炒め(番茄炒蛋)を選ぶ。そう、よく中華の定食で見かけるあの可愛らしい中国家庭の定番料理。

 作り方は家庭それぞれ、私が好きなのは、まずたまごを炒めて、潰せずに大きなかたまりを残したままトマトを入れる。トマトも大きいほうが嬉しい。ケッチャプは好みで入れてもいいが、塩を少し振って、それだけで十分美味しい。妹もトマトたまご炒め好きだが、私と違って、たまごとトマトが潰された状態でご飯に混ぜって、そのトロトロの食感が好きだという。小さいとき、母がトマトたまご炒めを作ってくれると言ったら、必ず作り方で妹ともめる。

 日本に来たら、なんだかトマトたまご炒めがプチ贅沢みない存在になった。なぜかというと、トマトが高い。
 スーパーに行ったら、トマトだけは他の野菜に一線を引いたように見える。同じくらいの大きさで、二つ四つくらい綺麗にパックされて、なんだか高級なフルーツに見えなくはない。その値段もフルーツ並で、キャベツや白菜、みんな100円以下手に入れるのに、トマトパック一つ三百円ぐらいして、貧乏な私にとって、買う前になかなか決心が必要だ。
 中華に行ってもあまりトマトたまご炒めを注文しない気がする。あまりにも家庭料理すぎるから、外食にはほかのやつがいいよなと思ったりして、たまに注文したら、トマトたまご炒めとご飯は別々出てくるので、「カレーライスみたいな感じで食べたい!ご飯を少しずつ崩して、汁を掬ってそれに絡めて食べたい!」「さ、最後まで均等的にご飯とトマトたまごを食べたい!」といつも心の中で叫び、豪快にトマトたまご炒めをご飯の上にのせる。
 業務スーパーでたまに300円六個のトマトが買える。そのときの嬉しさは大きい。自分の好みで調理できるし、自分の好みで盛り付ける。六個中、四つをトマトたまご炒めに使う。残り二つ、一つはそのまま皮ごとに食べる、もう一つは冷やしトマトにする。
 
 トマトを冷蔵庫に三日ほど放置したら、少しだけ青っぽい皮がすっかり赤になって、全体的に柔らかくなった。調理するのは本当にもったいなくてそのまま食べちゃう。トマトの汁が手につけて、甘さが口の中で広がる。食べ応えのある皮と種、ゼリーみたいな果実、世の中そんな食感が豊かな野菜はほかないよねと考えながらもぐもぐする。

 ツイッター上の中国クラスタのなか「中国ではトマトに砂糖をかけるなんてありえない」みたいな発言を目にしたことがあるが、まあ好みの問題だけだしと思いながらトマトに砂糖をかける。砂糖をかける目的にはほかでもなく、トマトから水を出すためだ。外部濃度が高いと、トマト細胞内の水分が、細胞の外側に出ていき、細胞が収縮する。これで「トマトだし」が取れるわけだ。溶けた砂糖のトマト汁が甘くて小さいときの大好物だった。近所の中華料理屋さん、冷やしトマトに砂糖、お酢などが混ぜたものをかける。甘すっぱい食感で結構美味しい。どうしても砂糖に抵抗のある方なら、まずこれからお試したらいかかでしょうか。



 
 私にとってトマトはカレールウみたいな存在だ、どんな料理でもトマトを入れたら、トマトの味と色によって染める。だが、トマトはカレールウを超えた存在で、そのまま食べられるし、食感も豊かだ。世の中トマト好きな人をもっと増やしたいな、これでトマトの値段少しだけでも下げるのかな?

さて、最後はヘタリアの『おいしい⭐︎トマトのうた』で締めるね。

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