2015年1月6日火曜日

小さな出来事

 友達Lさんと仲良くなったのはある小さな出来事のおかげであった。ただ、その前にすでにLさんに薄い印象があった。

 大学院に入ってから間もなく中間発表があって、私たち新入生は手伝いに来いと呼ばれた。そこでLさんがいた。一緒に机を運んで、目線はどこに置けばいいかちょっと分からなかった自分が、ついLさんの格好を観察しちゃった。そこで、彼女のカバンのファスナーに綾波レイのキャラストラップがついたのを目撃した。あぁ...ダメだこいつ自分の趣味を隠さないどうしようもないオタクだって誰も気づかない小さなため息をして、思わず彼女の顔を見てしまった。そして目があった。わあ目があった!ってちょっと気まずいと思ったけど、お前の正体もう分かったぞ!って意味深に笑って、そして彼女もニコッと笑った。
 その後、過疎ゼミに所属している私がLさんの教授に呼ばれて、しばらくLさん研究室のゼミに参加するようになった。普段話す機会が増えたが、まだ「知り合い以上、友達未満」の関係で、まあ私は別に気にしていなかった。ある日、雑談していたとき、休日どうしようかの話が出た、そして名古屋にきたまだそんなに長くなかった私が、「あ、大須に行ってみたいな、まだ行ったことないよ」と言ってしまい、彼女が「いいね、私も最近あまり大須に行かなかった、案内するよ。今度の○曜日一緒に行こう!」と楽しそうに提案した。別に断る理由がないので「いいよ」と私は快諾した。

 そしてあの日。まんだらけで同人誌を一緒に掘り出して、好きなカップリングについて話し合って、大須の唐揚げを食べて普通に楽しかった。そろそろ帰るところ、ゲーセンの前に通り過ぎたとき、Lさんは「ちょっと待って」って言って、何だと思ったらクレーンゲームだった、そこに綾波レイのおもちゃいっぱい詰まって、彼女はホイホイでコインを入れた。そんなお金の無駄だってつっこみながら彼女プレイの姿を見て、三回ぐらいやって何を得られずに、彼女はようやく諦めた。自分はゲームに苦手であまりゲーセンで遊んだことないけど、せっかくゲーセンに来たので、二人で回ってみた。
 放課後の時間が過ぎたので、ゲーセンで制服姿のカップルや男子高校生の集団がちょいちょい見られた。ゲームに夢中する人はもちろん、彼らの多くはとあるマシーンに集まって、よく見たらプリクラだった。
 プリクラ、リア充ともの最強兵器、スーパーやゲーセンなどいろんなところに潜んでいるが、私は一度もそのマシーンを近づくことができない。美女たちがプリントされたカーテンカバーのインパクトが強すぎて、どうもカーテンを開ける勇気が持たない。たとえ入ってもどんなポーズをすればいいか分からない。可愛い系は私的に抵抗感がある、おかしい系は相当親しい友達じゃないとダメなんだ。そのため、ちょうどいいタイミングでちょうどいい友人と一緒に撮らないと意味ないんだ。
 私は今日の格好をチェックしてみた。化粧をした、まあまあ可愛い服を着てる、そして一人できたわけでもない。もしかして、これはプリクアデビューのチャンス?もしかして、これはリア充になる第一歩?
 「ねえ、プリクラ、やってみないか。」私は唾をごくりと飲み込むと言った。
 Lさんもびっくりしたようで、「む、無理よ!そんなリア充っぽいこと、私たち無理よ。」
 「し、心配するな、今日私たち別にオタクっぽい格好できたわけではないんだ。落ち着いて入れば、普通の人に見えるはず。」私は彼女を説得しようとして、自分にも勇気をつけた。
 私の話を聞いて、Lさんはちょっと動揺した。
 「大丈夫だよ、端っこのマシーンを使えば、誰も気づかない、中に入ったらダサいポーズをしても誰にもバレないし。」さらに推して、Lさんは頷いた、「じゃ行こう!一回400円高くないし。」
 
 心の準備を整えて、いざカーテンをあけ、中に入るんだ。とても小さな空間で、私とLさんはまた焦り始めた。
 「ど、どこからスタート?」
 「お、落ち着け、まずコインを入れるんだ!」
 「そ、そうだね。」
 100円を四枚入れて、真っ黒なスクリーンが急に光って、案内の画面になった。私とLさんが精一杯で説明文を読んで、「くそ、カタカナいっぱい読み切れないよ...」って文句を言いようとしたとたん、画面がカウントダウンになっちゃって、「3、2、1...スタート!」の音声が流れた。
 「や、やばい、まだ読み終わってないのに!」
 「ポーズも全然考えてないし!」
 完 全 に パ ニ ッ ク 。
 幸い、カメラの下に参考ポーズがあった。それは私とLさん最後の頼みの綱となり、無理矢理かわいい笑顔を作り、今時女の子のポーズを取って、かろうじて6枚を撮った。
 すでに精神的に疲れた私とLさんがマシーンの次の指示を待った。そして画面に「落書きスペースに移動してください」というメッセージが出てきた。
 え、うそ?プリントは同じ場所じゃないの?え?落書きスペースってどこ?
 再 び パ ニ ッ ク 。
 とにかく出るんだ、私とLさんはマシーンから出たけど、周りを観察してみたけど、マークや指示とか全然なく、きっと近くのマシーンだよねって私たちは思って、誰も入ってないブースに入って、そしてやっと落書きのメニューを見た。
 さっきまでの不快を全部忘れた。私とLさんはこの瞬間を楽しんでた、女子力高めの絵文字や図を入れて、初のデコレーションに挑戦した。やがてデコが全部終わって、私は満面の笑顔でLさんに「楽しみだな」と言って、プレビューを見たとたん、私もLさんも驚き呆れて、体が冷水を浴びたようにすくんだ。
 
 そこで映ってるのは私とLさんではなく、完全に別人だった。男子高校生二人組だった。とんでもない気まずさに襲われた私とLさんが、目線を合わせ、お互いの目から「三十六計逃げるに如かず」というメッセージを読み取った。
 私たちは今まで一番の冷静さを装って、まるで何百枚のプリクラを撮った達人みたいに話しながらそこで身を引いた。そして隣の誰もいなかったブースに入った。
 「捨てる神あれば拾う神あり」と言えばいいか、そこでタッチパネルで映ったのは私とLさんさっき撮った写真だった。時間が過ぎたから写真の背景のデコができずに、文字だけ入れた。私とLさんは無言でやってささっと写真をプリントアウトをして、まるで誰かに追われたようにゲーセンから一秒でも早く逃げ出した。
 走って走って駅近くてやっと安全だろうなと思って、私とLさんはそこで止まった。プリントアウトした写真をカバンから取り出して、見てみた。デコがなかったので若干しょぼく見えるが、デカ目と模範例を参考したポーズはちゃんと今時の女の子の感じだった。
 ほっとした私とLさんは再び目が合って、腹を抱えて笑った。笑いすぎて全然止まらなかった。その時から、私とLさんの間、はじめて「同士」っていう感情が生み出した。
 
 Lさんは私の性格と真逆で、時々Lさんのことめんどくさいやつだなと思うけど、彼女が私の持っていないモノを持ってるのは確実だ。知り合って最初の頃より、今は彼女のいろんな事情を知って、本当に彼女が幸せになってほしいと思っている。Lさんは卒業後、またヨーロッパとかで留学する予定なんで、今後会う機会は少なくなるかもしれないけど、会ったらまた馬鹿なことをしたいなとこの記事を打ちながら思った。
 日本に来て三年を越えた、こっちで仲良かった友達は帰国したり、またどっかに行ったりするので、せめて日本にいる間、彼らとのエピソードを書きたいなと思って、この記事を書いちゃった。多分シリーズものになっちゃうかも、タグは「はちこと愉快な仲間たち」に決定(笑)。



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