2015年9月1日火曜日

はちこの就活日記(下)

はちこの就活日記(上)

 就活の本1冊2冊読んだら、だいたい就活の「理屈」がわかるようになってきた。面接のとき絶対欠かせない下記のようないくつの質問、実は論理性があるものだと理解できるだろう。
 
 ・将来の夢/ビジョンはなんですか。
 ・入社後やりたい仕事はなんですか。
 ・学生時代頑張ったことはなんですか。
 ・自分の強みはなんだと思います?
 
 将来の夢/ビジョンは入社後やりたい仕事につながり、業界の志望動機や企業の志望動機となっている。頑張ったことから自分の強みを気づき、自分がいかに会社の望む人材に一致するのかアピールできる。
 従って、面接のとき自己PR兼ねての自己紹介はこのようなテンプレートとなる:

 ◯◯大学◯◯学部の◯◯と申します。私の強みは◯◯です。具体例を挙げます、_____________。このような経験を通じて、__________を感じまして、____________(業界/職種)を志望いたします。御社は________________という強みを持ちます/展開をされます、私は_______の仕事/夢を実現したいと考え、御社で頑張りたいと思います。

 論理的に整理できれば、どこでも通用できると思うのだが、問題となるのは、大抵の学生、将来自分なりをやりたいのか、夢はなんなのか、やりたいことはなんなのか、よく理解してない。
 上の世代の人がよく若者を批判するような文言になるが、実はその通りだと思う。皆それぞれ大きな夢小さな夢を持ってると思うが、現実の壁にぶつかり、諦めたり心の中にひそめてじっと隠れたり、最後仕方がなく「就活用」の夢やビジョンを作り上げる。その結果、差別化できない、理屈が合わないなど、いろいろと矛盾が生じ、就活もうまくいかないわけである。
 
 そこで私が考えた効率的なやり方は、日本の問題点はどこだと考えてみください。
 今、あるいは近い将来(特に2020年のオリンピックに向けて)日本社会の問題点は様々あると思う、労働力不足、福祉問題などなど、そのなかあなたが一番問題視/関心を持ってるのはどこだろう。その問題点から出発し、各業界ができること、向き合うべき姿、理想の姿、それは業界ないし企業への志望動機に成り立つ。
 考え方としては:
 1、日本社会の問題点はどこにあると思う?(=ビジョン)
 2、志望の業界なら何ができる?(=業界への志望動機)
 3、この会社はこの問題点についてこういった取り組みをした。(=企業への志望動機)
 4、私が考えた理想の姿は_____。(=入社後やりたいこと)
 5、こういった仕事をできるため、____の素質が必要となる。(=私の強み、その強みを証明するため:学生時代頑張ったこと)。

 ということは、自己紹介のテンプレートはこうになる:
 ◯◯大学◯◯学部の◯◯と申します。私は___で来日し、日本社会の___について違和感を覚え、____という現状を変え、___業界に志望いたしました。そのなか、特に御社は___という展開をされており/経営理念をあげ、共感しましたので志望いたしました。私は入社後、___問題点についてさらに___といった仕事を携わりたいです。この仕事をできるには、◯◯という素質が一番大切だと思います。実は私も普段◯◯を意識しながら、行動しています。例えば学生時代、_____をしました。この強みで是非御社で発揮したいと思います。


 以上は私が思う就活の理論編で、次はQ&Aの形で就活のコツや心得を簡単に紹介したいと思う。

Q:合説や会社説明会のとき、気をつかう点は?
A:常に「志望動機」「自分の強み」を意識しながらメモを取ること。


私が実際とったメモを例にすると、
1 下準備としてHPを閲覧したうえ、質問したい項目を先に書いておく。
2 常に志望動機を意識しながら人事の話を聞く。
3 3色ペンを活用しよう。

(結局この会社落ちたけどな…)








Q:OB OG訪問のときどんな質問をすればいいか。
A:上篇でも紹介したと思うが、「内定勝者 私たちはこう言った!こう書いた!合格実例集&セオリー2016 面接編」 この本のなか、質問集があるので、参考としていいと思う。
 少しベタだと思われるが、私がよく質問するのは「志望動機はなんですか、入社の決め手はなんしょうか」だった。なぜかというと、私は志望動機と入社後やりたい仕事が一番大事だと考えているからだ。志望動機は盗んでもいいもので、説得力のある志望動機を盗み、自分の志望動機と比べながら見直す。そして入社の決め手は会社の強み、差別化に関係する。
 ちなみに留学生が聞きがちだが実は意味のない質問結構多くて、時々痛く思う。例えば、
 「留学生に求める素質はなんですか」→求める人物像と大して差はない。
 「留学生採用しますか」→大抵の人事は国籍関係なく優秀な人材を確保したいと返事するだろう。そしてこれも大嘘ね。

Q:GDのコツはなにかある?
A:まずできるだけ違う業界のGDに参加してください。なぜかというと、違う業界の課題や現状をある程度把握し、次の選考に有利だ。例えば、物流業界のGDに参加し、物流業界の課題はドライバー不足で、トレンドは3plだと認識した。そこで、IT業界のGDに参加し、流通のお客様の課題を解決してほしいというテーマを出されたら、ドライバーや3plの面から提案できる。ITや商社など様々なお客様と接するような業界、お客様の現状や課題を把握するには、GDへの参加は本当にいいチャンスだ。
 GDのコツは適切な時間で行くこと。グループの真ん中ぐらい座ったら場所的に議論に参加しやすいので、日本語力の不足は積極的な姿勢で補う。10分前に行ったら一番妥当だろう。

Q:学生時代頑張ったことはどう書けばいい?
A:コツはチームのなかで頑張ったことを書いてください。平凡な経験でもいいが、とにかくチームのためにやったこと、組織のためにやったことを書いてください。中国人や欧米の留学生なら、主張が強くコントロールされにくい、チームプレーよりも個人プレーが好きだと思われがちだ。
 そこで、人事に安心感を与えるため、チームと関わるエピソードを推奨する(日本でのエピソードがイメージしやすいと思うので、院生の方々も母国でのエピソードよりも日本で頑張ったことを書いたほうがいい)。例えば、ゼミを活発させるためにしたこと、アルバイトのチームで活躍したこと、チームの◯◯問題点を解決したこと。などなど。あと面接は日本語で行われるので、日本語勉強のエピソードはいらない、しゃべると自然にアピールになる。

Q:いつから準備したらいい?
A:少なくとも3ヶ月前は目安。説得力、論理性のあるエピソードを用意するには、時間が考え込む時間が結構必要。大学は日本語学科で日本で就職したい場合、大学院を選ぶとき、就職のことも視野に入れて一度考えてみよう。そこの学生さんの構成、先輩たちの就職先、先生が就活への寛容度などなど、聞いておくといいかも。

 
 ここまでは就活に関しての心得。最後、もう少しだけ文系の就職について語りたいと思う。

 6月、文科省は全国の国立大学に「文学部や社会学部など人文社会系の学部と大学院について、社会に必要とされる人材を育てられていなければ廃止を検討せよ」という通知を出した。
 理由として、人文社会科学系は就職しにくい、専門知識が使えないことがあげられた。
 私はそう思わない。文系の就職は理系以上に論理性が必要、そのための文献の読み取り、自ら勉強を進む姿勢、表現する力などなど、すべて私が文系大学院で勉強してきた大切なもの。

 結局、見直すべきだったのはどこか、今の私何も答えられない。
 だが、日本はもう豊かな社会でなくなる。
 大学は教養を深めるところでなくなる。

 そしてその結果はおそらく、

 日本は留学先としての魅力がなくなる。
 経済および労働環境の悪化で日本で就職したい留学生の方が少なくなる。
 労働人口が少なくなる。
 日本の魅力を伝える外国人が少なくなる。
 ……


 私がそれだけは見たくない。そして私は自分の手で何かを変えたい。

 周り小さな「世界」、私が好きなこの「日本」。